フィンランドスウェーデン が北大西洋条約機構(NATO)加盟という歴史的決断に踏み切る意向を表明した際、NATO側はロシアからの強烈な反発は予想したが、加盟国から異論が出てくる事態は想定外だった。

だが、14日にベルリンで開かれたNATO外相会合では、フィンランドとスウェーデンの外相を招いて欧州の安全保障に関する歴史が数十年ぶりに良い方向に書き換わるのを歓迎しようとするムードに、トルコが冷や水を浴びせた。

あるNATOの外交官はロイターに、トルコのチャブシオール外相がこの会合で見せたのは、祝賀姿勢と正反対の「危機モード」だったと指摘。その前日にはトルコのエルドアン大統領も、フィンランドとスウェーデンのいずれの場合もNATO加盟は支持できないと発言し、他の加盟国に衝撃を与えた。

チャブシオール氏はトルコが北欧2カ国のNATO加盟を受け入れるための条件を提示しただけでなく、スウェーデンのリンデ外相に対して声を荒げる場面があり、3人のNATO外交官は外交儀礼に反する「恥ずかしい」振る舞いだと苦言を呈した。

別のNATO外交官は「われわれにとって歴史的瞬間だったが、チャブシオール氏がリンデ氏の『フェミニスト的な政策』にいら立ち、大変な事態になった」と明かす。会合場所のドイツ外務省内が非常に緊迫した空気に包まれ、参加者の多くが沈黙を守って雰囲気を落ち着かせようとした、と当時の状況を説明した。

この外交官は「われわれは、トルコが実のところ何を望んでいるのか理解しようと努めた。本当に困ったことだった」と付け加えた。

トルコ側が掲げている主な要求は、北欧2カ国がトルコの反政府武装組織、クルド労働者党(PKK)への支援を止めることと、トルコ向け武器売却禁止措置の撤廃だ。

トルコ外交筋の1人は、チャブシオール氏が敬意を持ってトルコの姿勢をつまびらかにしたし、リンデ氏が主張するようなスウェーデンのフェミニスト的な外交政策がトルコによるNATO加盟反対の理由でもないと述べた。

同筋は「リンデ氏の発言は、スウェーデンのNATO加盟にとってプラスにならない。フィンランドから出された声明は、注意深く策定されている」と論評した。

スウェーデン外務省は、コメント要請に回答がなかった。

対話は継続

今月初め、NATOの複数の外交官はロイターに対し、NATO30カ国全てがフィンランドとスウェーデンの加盟について、安全保障上のメリットをもたらすので支持しているとの見解を示した。それだけに14日の外相会合がトルコによってしらけた雰囲気になったことには、なおさら意外感がある。

NATO諸国は対ロシアで一体となる態勢を生み出すため、記録的な速さで北欧2カ国の加盟を承認したい考えだった。だが、エルドアン氏は16日、スウェーデンとフィンランドの代表団は予定通りにトルコを訪れるべきでないと突き放した。

18日にはトルコ大統領府が、エルドアン氏の重要なアドバイザーの1人がスウェーデン、フィンランド、ドイツ、英国、米国の代表者と電話で話し合ったと表明した上で、トルコの期待が満たされない限り、NATO加盟手続きは進まないと言い切った。

強硬姿勢の裏側にあるのは......