世界の航空機リース各社はロシアに貸し出している数百機に上る航空機が取り戻せなくなり、保険会社と「バトル」する覚悟で保険請求の準備を進めつつある。それと並行して、ロシアの民間航空会社とも慎重に接触を続けている。

ウクライナに侵攻したロシアに西側諸国が制裁を科して以降、リース会社はロシアに貸し出した航空機400機余り、約100億ドル相当が回収できなくなり、この数週間に相次いで数億ドルを減損処理した。

アイルランドのダブリンで開催された業界イベント「エアライン・エコノミクス」に参加したリース会社関係者からは、保険会社との予測不可能な戦いでどれだけの保険金を確保できるのかが分かるまで何年も待たざるを得ないのではないか、との声が聞かれた。

その間にも保険料は大幅に上昇している。

米航空機リース会社エアキャッスルのマイケル・イングリース最高経営責任者(CEO)は「現実的には、すぐに航空機を取り戻せるとは誰も思っていない。心理的には既に過ぎたことになりつつある」と話した。

もっとも、「だからといって、予想される保険会社との激しい争いを前に、当社のチームが作業と追求、準備をやめたわけではない」という。同社は2億5200万ドルを減損処理した。

8億0240万ドルの損失を計上したエア・リース・コープの創業者、スティーブン・ウドバーヘージー氏は、保険金請求を「精力的に」進めていると話した。

請求額が最も多いのは業界最大手エアキャプで、ジェット機100機余りについて35億ドルを請求した。

アグネス・ケリーCEOは、ロシア事業の資産残高が業界最大である同社が損失を被ることを認めながらも、「保険会社はいずれ和解しなければならないだろう」と強気の姿勢を見せた。

「コストは上がるだろうが、保険会社の話に耳を傾けるつもりはない。なぜなら保険会社自身もいつかは競争に直面するからだ」と述べ、保険料の上昇を一蹴する。

アイルランドのジェネシスは、西側の制裁措置によりロシア向けの全リース契約が停止された後、最初に保険を更新したリース会社の1つだ。カール・グリフィンCEOは保険料の上昇について「ひどい光景だった」と語った。

リース会社と保険会社の戦いがどのような展開になるかの見通しは立たない。S&Pグローバルが見込む航空保険の損失額は60億―150億ドルと、非常に大きな幅がある。

法律事務所ビジョン・アンド・エルキンズで航空ファイナンス部門の共同責任者を務めるニールス・ジェンセン氏は、最終的には保険契約の具体的な文言次第だと指摘した。

ロシア側は「盗んではいない」と......