ということは、「植物性タンパク質を食べても十分にタンパク質を生成できないのでは?」と思うかもしれないが、植物性タンパク質でも筋肉はつく。

いろいろな種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスが整うからだ。

たとえば、陸上のカール・ルイスは菜食主義者だが、立派な筋肉のついた体で世界記録を出している。

また、牛肉や豚肉は部位によって脂肪など余分なものも多いことがあるので、カロリー過多になりやすい。

一方、植物性タンパク質のなかでも、大豆や大豆加工品のアミノ酸スコアは100だ。しかし、豆類には糖質も多い。したがって、タンパク質はできるだけいろいろな食材からとるのが望ましい。

私自身も、動物性タンパク質と植物性タンパク質をとり交ぜながら摂取している。

そう考えると、大切なのは、各食材の特徴についての知識を蓄えて、それをもとにさまざまな食材からタンパク質を摂取することではないだろうか。

鶏肉でオススメなのはササミよりもムネ肉

最後に、トレーニーにとっての最強食材である鶏肉について補足しておこう。

昔から、ボディビルダーたちのあいだでは、「筋肉をつけたいなら鶏肉がベスト」と言われてきた。なぜなら鶏肉は、高タンパク・低カロリーのお手本のような食品だからである。

そんな鶏肉のなかでも特におすすめの部位は「ササミ」というのが定説だった。タンパク質の含有量は、ササミもムネ肉も100グラム中、約23グラムだが、ムネ肉は脂質が100グラム中、1.9グラムあるのに対し、ササミは0.8グラム。鶏肉のなかでも最も脂質が少ないのがササミだからだ。

ちなみに、モモ肉は鶏肉のなかで最も脂肪が多く、皮つき肉の脂質は19.1グラムになる(ただし、皮を取り除けば4.8グラムに減る)。

しかし、私はどちらかというと、ムネ肉を推奨している。その理由は、疲労回復に役立つ成分が含まれているからだ。

渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる。人間には到底、不可能な芸当だ。そんなことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから。

このイミダペプチドは、われわれ人間の疲労回復にも威力を発揮することがわかっている。ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。

筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれるというわけだ。

筋肥大を目指すなら皮も食べたほうがいい

「食べる筋トレ。」また、鶏ムネ肉は牛肉や豚肉だけでなく、同じ鶏肉のササミやモモ肉と比べても、値段が安い。牛肉を毎日食べ続けるのは経済的に厳しいという人も、ムネ肉なら毎日食べることができるのではないだろうか。

なお、鶏ムネ肉は多くの場合、皮がついたまま売られている。この皮の正体はほとんど脂身なので、体を引き締めたいならば、包丁でとることをおすすめする。

一方、筋肉を大きくしたいときは皮も食べたほうがいい。詳しくはここでは省くが、脂質は筋肉をつけるためには欠かせない栄養素だからだ。

鶏ムネ肉は塩コショウだけでも十分おいしいが、毎日食べていると飽きがくる。そんなときは「味変」で乗り切ろう。

私の働いている「筋肉食堂」では日替わりで鶏肉のソテーを提供しているが、あるときはトマトソース、あるときは大葉ジェノベーゼソースというように、さまざまなソースで変化をつけている。

梅干し、キムチ、ガーリックなどの食材とも相性が抜群だ。ぜひ味変に挑戦して、ムネ肉を存分に摂取してほしい。

谷川俊平

「筋肉食堂」マネージャー
1983年大分県生まれ。福岡大学スポーツ科学部卒業。大学卒業後、アスリートや芸能人が数多く通うスポーツジム「TOTALWorkout」で、トップアスリートや歌手、俳優などのボディメイクを10年間担当する。数多くのクライアントと接するうち、体づくりには、食事の改善が欠かせないことに気づく。それがきっかけとなり、2015年、おいしい料理をお腹いっぱい食べて体づくりをする高タンパク・低カロリー食レストラン「筋肉食堂」をオープン。
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※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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