タリバンを構成するのは主に多数派民族のパシュトゥン人だが、タリバンはアフガニスタン国内のあらゆる出自の人々を守るとの立場を示している。アフガニスタンには他にもタジク人やハザラ人、ウズベク人など多くの民族が暮らしている。

その中で唯一、イスラム教シーア派の信者が大半を占めるのがハザラ人だ。イスラム教スンニ派の中でも特に保守的な人々の集まりであるISは、シーア派を「背教者」扱いしている。ハザラ人はかつてのタリバン政権下で弾圧を受けたとしており、この数十年間に隣国イランに逃げた人も多い。

イラクやシリアにおけるISの勢力拡大に対抗するため、イランは多くのシーア派武装組織を動員してISと戦わせてきた。その1つがハザラ人主体のファテミユン師団で、今もシリアで活動を続けている。

ファテミユン師団は15日、アフガニスタンで続発するISによるシーア派モスクへの攻撃を非難。原理主義的なサラフィー主義や、シーア派などに背信者のレッテルを貼るタクフィール主義的な思考がもたらしたものだと断じた。

安全保障・外交専門家のカムラン・ボカリは本誌に対し、ISISは各国の分離独立派組織を仲間に引き込もうとしており、それが周辺の国々を刺激するのは間違いないと述べた。特に中国政府は国内のウイグル人組織に強い懸念を抱いているし、今後は「イランをも刺激することになるだろう」という。

<H4>シーア派を守らずにはいられないイラン

またボカリによれば、ISは「イランを挑発するために手の込んだ情報工作を行っている」という。狙いは「タリバンを追い込む」ことにある。

イランはアフガニスタンの主権を尊重するとの立場を取る一方で、タリバン自身が問題の解決に当たることを期待する考えを示している。ただしファテミユン師団はこれまでのところ、多くのメンバーの故郷であるアフガニスタンの新政府に加わる考えはないとしている。

だがもしシーア派への攻撃が続けば、イランの立場にも大きな影響があるだろうとボカリはみる。

「イランは(シーア派)武装組織の活動を活発化させようとするだろう」とボカリは言う。例として挙げたのが「聖地を守れ」というイランのシリア戦略だ。アフガニスタンでも「シーア派を守れ」になる可能性があるとボカリは言う。「なぜなら、誰も(アフガニスタンのシーア派を)守っていないからだ」

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