もっと厄介なのはEUとの関係だ。イギリスとEUは昨年末に貿易などの協定で合意に達し、延々と続いた「離婚協議」にようやく決着がついた。だが、両者の溝が埋まったとは言い難い。

対立点の1つは北アイルランドの扱いだ。英領北アイルランドはEU加盟国のアイルランドと地続き。人と物の流れが制限されれば、不満が噴き出し、かつて英政府を悩ませた北アイルランド紛争が再燃しかねない。

問題はそれだけではない。イングランド、北アイルランド、ウェールズ、スコットランドの4つの地域から成るイギリスは、EU離脱で分裂のリスクを抱えることになった。今年5月にはスコットランド議会選で、分離独立とEU復帰を目指す勢力が過半数を獲得。スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は独立の是非を問う住民投票の再実施を目指しており、ジョンソンとの対決は避けられそうにない。

また政府のコロナ対策を検証する独立調査が来春にも実施される予定だが、初期のジョンソンの対応を元顧問が痛烈に批判しており、厳しい評価が下されそうな雲行きだ。

ほかにも住宅危機や労働力不足など問題は山積。貿易協定を次々に結んだところで、こうした問題は解決しない。

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