いまウクライナにある仮想通貨企業のほとんどは合法的な存在だ。複雑なブロックチェーンの生成に関わる企業も、先端技術を駆使して複雑な金融商品を扱う会社もある。だが、怪しげな会社もある。例えばミルトン・グループだ。

首都キエフに本社を構える会社だが、スウェーデンの日刊紙ダーゲンス・ニュヘテルの調べで、実態は詐欺グループだったことが発覚した。ミルトンの社員は甘い言葉で世界中の顧客をだまし、ありもしない仮想通貨に投資させていたという。

スウェーデンの検察当局が捜査に乗り出し、欧州警察機関(ユーロポール)や関係各国に協力を依頼しており、同国外相のアン・リンデもウクライナ政府と協議しているが、本稿執筆の時点では誰ひとり罪に問われていない。

奇妙な話だが、ウクライナの公務員は自国の法定通貨よりもビットコインを好むらしい。とりわけご執心なのは市議会と国防省、国家警察の職員だ。

個人として最も多くのビットコインを保有しているのは中部ドニプロペトロウシク市議会のミシャロフ・V・ドミトロビチ議員で、その額は米ドル換算で7億ドル相当とされる。国民の平均月収は約480ドルだから、とんでもない金額だ。

農産物の輸出に依存し、旧態依然の原発に頼る国が仮想通貨でハイテク立国を目指す。それは危険な賭けだ。このまま突き進めば、ウクライナは腐敗大国になりかねない。

From Foreign Policy Magazine

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます