車列は前に進むことを断念し、元来た道を慌てて引き返した。銃撃を受けたSUVは満身創痍の状態だったが、それでも全ての車両が辛くもシリア軍の拠点にたどり着けた。

調査団の保安責任者を務めるディアムイド・オドノバンと副官のモハメド・カファギは自らのSUVから降り、セルストロムの車に歩み寄った。セルストロムは、現地の地理に最も精通しているカファギに尋ねた。

「どうすべきだと思う?」

「もう一度目的地に向かうべきだ」と、カファギは躊躇なく答えた。

「えっ?」セルストロムはこの言葉に驚いた。

「もし今日行かなければ、チャンスは二度となくなる」と、カファギは説明した。「私たちをおじけづかせることが簡単だと先方に思われれば、私たちの活動はもうおしまいだ」

オドノバンも一瞬考えた後、うなずいて賛同の意を示した。攻撃を受けた土地に入ろうとすれば再び危険にさらされるが、自分たちがシリアにやって来たのは化学兵器について調べるためだ。セルストロムは言葉を発せず、しばらく考えていた。

「分かった」。やがてセルストロムは言った。「行こう」

程なく、調査団は無傷の4台のSUVに分乗して、再び反政府勢力の支配地域に向けて出発した。

車列は検問所を通過すると、狭い道を猛スピードで疾走した。そして、前回銃撃を受けた橋まで来ると、スピードを緩めることなく走り抜けた。今回は、銃弾は飛んでこなかった。

調査団は、2つのチームに分かれて証拠の収集を開始した。1つのチームは、仮設の野戦病院を訪ねた。血液、尿、髪の毛などのサンプルを採取し、生き残った人たちの証言を動画に収録することが目的だ。

現場の物証が示す「犯人」
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