ビジネスでも行き詰まる?

それだけではない。トランプには最低でも計3億ドルの負債があり、いずれも今後4年以内に返済期限を迎える。

議事堂襲撃をそそのかしたことで、事業の行方も不透明度を増した。事件後、ニューヨーク市やPGA(米プロゴルフ協会)はトランプの企業との契約を打ち切っている。

興味深いのは、これらの事例のどれかで、トランプが重大な敗北を喫することになった場合だ。

それが意味するのは、原理原則の勝利。これまで規則にのっとって適用されるべきルールは現実にはそうでなく、アメリカの法制度や金融制度はトランプを乗せて運ぶエスカレーターであり続けてきた。

だがトランプがこの国の実態をむき出しにしたことは、希望の兆しになるかもしれない。これほどの不正や不平等を目にしたら、誰もが行動を起こしたくなる。

だからこそ、大統領を退任したトランプは、これまで決して取る必要のなかった責任と向き合う羽目になるのではないか。もはや擦り抜けることはできない。あまりに多くの目が彼を見つめている。

トランプは罰を受けるべきだと考える人もあまりに多い。俳優マコーレー・カルキンは先日、映画『ホーム・アローン2』からトランプのカメオ出演場面を削除してほしいというファンの声に賛同した。

確かに、ばかげたジョークのような話だ。とはいえ同作のクリス・コロンバス監督は昨年末、トランプを出演させたのはごり押しされたからだと明かしている。

大統領になる前のトランプは、嫌な奴ではあったが、魅力的な嫌な奴と言えた。冗談のタネだったが、自ら笑いものを演じていると思えた。

だが今では、誰もがその正体を知っている。トランプが乗っているのはもう上りのエスカレーターではない。

©2021 The Slate Group

<2021年2月2日号「バイデン 2つの選択」特集より>

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