だがジョンソンがそうした期待を持っているとしたら、EUの立場を見誤っている。EUがアイルランド国境問題をめぐってかたくなな態度を崩さないのは、単一市場とEUの連帯を守るという覚悟の表れだ。EUはぎりぎりまで交渉に応じるだろうが、それは最終的に交渉が決裂した場合にジョンソンの責任だと主張できるからでもある。

政治戦略の面で言えば、議会の閉会はやり過ぎだったかもしれない。ジョンソンはブレグジットをめぐり分裂していた議員らに、議会制民主主義と議会主権を守るという大義の下で結束する理由を与えてしまった。

議会は9月3日にいったん開会するが、そこで事態は急転回するだろうか。一寸先は闇だ。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年9月10日号掲載>

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