Selena Li Sameer Manekar

[香港/ベンガルール 26日 ロイター] - アジアを主要な事業基盤とする大手銀行は、債券市場の不安定な動き、根強いインフレ、為替相場の変動が、収益性や強固な資本基盤を脅かすリスクに直面している。各行は安定した預金基盤の恩恵を受けているものの、長期金利の上昇やマクロ経済環境の悪化によって脆弱性が浮き彫りになりつつあるとアナリストは指摘する。

今月初めの国債相場の世界的な大幅下落を受け、指標となる米10年物国債利回りは数年来の高水準となる5.34%に達した。日本でも国債利回りが急上昇した。こうした借り入れコスト上昇の影響は今も地域の金融機関に波及している。

JPモルガンでアジア太平洋地域の金融セクター共同責任者兼ASEAN(東南アジア諸国連合)調査責任者を務めるハルシュ・ワルダン・モディ氏は、アジア系銀行に対する金利上昇圧力について、「流動性、資本、損益に対して影響がある」と指摘する。

モーニングスターの株式アナリスト、キャシー・チャン氏は、債券評価額への圧力によって銀行の簿価も押し下げられ、主要な自己資本比率の低下につながる可能性があると言及。影響は配当の支払いにも及ぶ恐れがあるという。

ただし、銀行が健全な利益を確保し、資本を積み上げることができれば、こうした打撃が全体としては緩和される可能性があるとみている。

<日本と東南アジアで強まる圧力>

格付け会社ムーディーズは、日本国債の利回り上昇により、デュレーションの長い資産を保有する金融機関に多額の含み損が発生していると警告した。農林中央金庫やゆうちょ銀行を含む一部金融機関では、すでに信用格付けの引き下げにつながっている。

ムーディーズ・レーティングスで金融機関グループのアソシエート・マネジング・ディレクターを務めるアルカ・アンバラス氏は、「(日本では)金利市場にさらなる上昇圧力がかかるとみている」と語った。

アナリストによると、バランスシート全般に及ぶ逆風に加え、東南アジアの新興国で事業を展開する銀行は、それぞれの国・地域に特有の脆弱性にも直面している。

ムーディーズのアナリストによると、フィリピンやインドネシアなどでは、インフレの高止まりと為替変動の拡大が、銀行資産の質やホールセール資金調達基盤に悪影響を及ぼし始めている。

また、シンガポールの銀行やHSBC、スタンダード・チャータードでは、中国人投資家からの資金流入を背景に富裕層向け資産運用事業が大きく伸びてきたが、今後の富裕層ビジネスの伸び鈍化に備えている。

ムーディーズで銀行・保険会社の格付けを統括するグローバル共同責任者、サリー・イム氏は、中国当局による海外資産に対する税務監視の強化で、短期的にはこうした資金流入が鈍化する可能性があると指摘した。ただその一方で、長期的な富裕層向け資産運用事業の成長シナリオは依然として損なわれていないとも述べた。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。