Kentaro Sugiyama Makiko Yamazaki

[東京 26日 ロイター] - 自動車総連の金子晃浩会長は26日、ロイターとのインタビューで、2027年春闘に向けて、物価上昇を上回る賃上げの実現に加え、生産性向上や労働価値向上を賃金に反映させる一段高い視点が必要との考えを示した。

ここ数年の春闘は、急速な物価上昇を背景に「物価を上回る賃上げ」の実現が大きな目標となっていた。金子会長はその取り組みについて「生活防衛という面では一定の成果を上げた」と評価する一方、「物価上昇に追いつくだけで満足する取り組みではなく、それを土台として、さらに一段高い視点から付加価値や労働の価値に見合う賃上げを目指すべきだ」と語った。

自動車総連は、企業グループ別の労連が結集した組織で、12労連・78万人で構成される。26年春闘では、中小労組の要求目安として月額1万2000円以上のベースアップ(ベア)を掲げ、加盟組合のベア平均獲得額は過去最高の9752円となった。定期昇給込みの賃上げ率は4.81%で、このうちベア寄与分は3.58%だった。

金子会長は「物価上昇に見合うだけの取り組みを毎年続けても、成長にはつながらない」と指摘。日本の賃金水準が長期にわたって海外主要国に劣後している現状に危機感を示し、「付加価値や労働の価値に見合う賃上げを獲得して初めて人材の価値が高まり、日本の競争力向上につながる」と強調した。

その上で「今までより目線を上げる議論をしている」と説明。物価上昇分を補う賃上げだけでは海外との格差を縮めることはできず、生産性向上や人材への投資の成果を賃金に反映させることが重要との認識を示した。

日本の自動車産業を取り巻く環境は厳しさを増しているとの認識も示した。中国メーカーの台頭や人工知能(AI)の急速な進展を挙げ「日本企業が生き残り、存在感を維持し続けることは容易ではない」と語った。「コスト競争だけでは勝てない。人材への投資を通じて企画力や創造力を高めることが日本の勝ち筋だ」と述べた。

連合が単年度の賃上げ目標に加えて、今回から中期目標を設定したことについても「考え方は全く一緒だ」と評価。「目指す姿から逆算して必要な賃上げを考えるバックキャスティングの発想が重要だ」と述べ、労働界として中長期的な賃金ビジョンを持つ必要性を訴えた。

一方、連合が22日に発表した27年春闘の基本構想で、要求賃上げ率(定期昇給込み)を「6%中心、5%以上」としたことについては、「昨年までの取り組みと大きく変わるものではないが、『6%中心』を加えることで前進姿勢を示した」との見方を示した。その上で「大きな方向性として相違はない」と評価し、自動車総連としての具体的な要求方針は今後検討していく考えを示した。

発足2年目に入った高市早苗政権の政策については「経済成長に重点を置いて進めてきたことは評価している」と述べたほか、適正取引の推進などを通じた賃上げ環境の整備も評価した。一方で、「国力を上げていくためには、上だけでなく、下限を引き上げていくことも必要だ」とし、特定最低賃金の引き上げなど賃金底上げ策の強化に期待感を示した。

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