創出された時間でケアの質がどう変化したかも検証

同社代表取締役社長の渡邉勲氏は、AI導入を「人を減らすための省力化」ではなく、「人にしかできないケアへ時間を戻すための仕組み」と位置づける。

AIが担当するのは、あくまでも報告書の「下書き」までだ。最終確認は必ず利用者と直接接するスタッフ自身が行う。この役割分担を日常業務に取り入れることで、作業の効率化と記録の正確性の両立を図る。また、ITに不慣れなスタッフでも無理なく活用できるよう、本部が導入・運用を支援し、各店舗で継続的に利用できる体制づくりを進めている。

自社検証で介護記録が充実しているほど作成時間の短縮効果が大きいことが分かったように、もととなる記録の内容や、人が確認・修正する工程も重要になる。今後は、記録方法のルール整備や研修を通じて店舗間のばらつきを減らすとともに、情報へのアクセス権限を適切に管理するなど、利用者の情報を安全に扱うためのシステム環境を整えていくという。

AI・DXと人によるケアを両立する「ソレイルミナーレ」の施設内風景
AI・DXと人によるケアを両立する「ソレイルミナーレ」の施設内風景

3年以内の全国100店舗体制を目標に掲げるHLC。新規・既存店舗でのAI活用の定着を支援するとともに、報告書の作成時間の短縮だけでなく、記録の質や利用者と向き合う時間にどのような変化が生まれたかについても、継続的に検証していく考えだ。

人材不足が続く介護業界では、限られた人員でケアの質を維持し、働き続けられる環境をどうつくるかが共通の課題となっている。AIに任せる作業と人が担う判断を切り分け、生まれた時間を人にしかできない仕事へ振り向ける。HLCが実践するこの考え方は、介護業界だけでなく、効率化とサービスの質の両立を目指し、持続可能な経営を模索する多くの企業にとっても参考になるだろう。

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