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[ブライスウッド(米サウスカロライナ州) 22日 ロイター] - トランプ米大統領は、2024年の大統領選で自身を再びホワイトハウスへ返り咲かせててくれた有権者の一部から支持を失いつつある。しかしロイター/イプソスの世論調査と白人のキリスト教福音派への取材に基づくと、この層は依然として同氏にとって最も信頼できる支持基盤で、11月3日に行われる中間選挙で重要な役割を果たす可能性が高い。

トランプ氏の支持率が過去最低水準に落ち込み、苦戦を強いられる与党共和党にとって、生活費高騰や対イラン戦争への不満による票離れを食い止める上で、福音派有権者の高い投票率は大きな支えとなりそうだ。

先週、米南部サウスカロライナ州ブライスウッドにある福音派教会「ビレッジ・チャーチ」を訪れると、こうした忠実な支持者らが集まっていた。教会では数百人の信者が、エリック・エステップ牧師による恒例の「聖書と政治」をテーマとした説教に耳を傾けた。巨大スクリーンとコンサート会場のような照明に囲まれた礼拝堂で、エステップ氏は特定の候補者や政党への支持を表明することはなかったが、中絶や社会主義に続いてギャンブルを批判する説教を行い、信者たちに政治を聖書的価値観から捉えるよう呼びかけた。

エステップ氏は「教会はこの国における真実の砦だと信じている。この国を精神的・道徳的に守るには、皆さんのような人々と、この教会のような教会が必要だ」と訴えた。

このメッセージは72歳の元製薬会社幹部カレン・ホワイティングさんの心に強く響いた。彼女は州上院選民主党候補のアニー・アンドリュース氏ではなく、共和党候補のダーリン・グラム氏に投票する予定だ。グラム氏は、亡くなった兄である上院議員リンゼー・グラム氏の議席を引き継ぐ形で州知事から任命された。

ホワイティングさんは民主党がトランスジェンダーの少女や女性による女子スポーツ参加を認めようとしていることを懸念していると説明した。これは、ロイターが先週サウスカロライナ州で取材した他の白人福音派有権者の多くが、経済問題よりも社会・宗教問題を重視している姿勢と共通する。

アンドリュース氏は最近の選挙広告で、トランスジェンダー女性の女子スポーツ参加や未成年者への性別適合手術に反対していると表明している。

それでもアンドリュース氏を認めようとしないホワイティングさんは「私は聖書の原則に基づいて投票する。民主党はその原則を体現しているとは思わない。神がなければ、この国は失敗するだろう」と言い切った。

ビレッジ・チャーチのロビーには投票の参考資料として候補者ガイドが置かれていた。これは保守系キリスト教団体「パルメット・ファミリー・カウンシル」が作成し、州内の教会に配布している。中絶薬への規制や適合医療の制限など7項目の評価で、グラム氏には全て緑色のチェックマークが付けられた一方、アンドリュース氏には多くの項目で赤いバツ印が残された。

サウスカロライナ州の上院選は接戦となっており、トランプ氏は21日夜に同州のクレムソン大学でグラム氏の応援演説を実施した。その中でトランスジェンダー問題を繰り返し取り上げ、アンドリュース氏が子どもの「性的切除」を支持していると事実に反する主張を展開した。

これに対しアンドリュース氏は、福音派有権者の関心は別のところにあると指摘する。ロイターへの声明で、福音派教会を訪問し、さまざまな宗教的・政治的背景を持つ有権者と対話した結果、人々が最も懸念しているのは経済だと感じたとした上で「人々はあらゆる物価上昇に苦しんでいる。だから私は立候補した」と語った。

<強固な結び付き>

ロイター/イプソスの調査によると、白人福音派のトランプ氏支持率は25年1月の77%から今月は63%へ低下した。

ただこの下落幅は有権者全体での支持率の下げ(47%から31%)よりやや小さい。さらにロイター/イプソスが追跡する主要な人口集団の中で、支持率が60%を超えているのは白人福音派だけだ。

トランプ氏はこれまで、3度の結婚歴や数十件に及ぶ性的不祥事疑惑(本人は否定)、さらにはポルノ女優への口止め料事件など数々のスキャンダルや捜査を経験した。それでも白人福音派との結び付きは維持されてきた。共和党にとって現在の問題は、経済的な圧力や、8カ月目に入ったイランとの戦争への不満によって、その結束が弱まっていないかどうかだ。

ロイターが実際にサウスカロライナ州の2つの教会で計15人に取材したところ、トランプ氏への支持は依然として強かった。ビレッジ・チャーチと、ブライスウッドから車で約90分のスパータンバーグ市にあるカロライナ・バプティスト教会で取材した15人のうち、アンドリュース氏への投票を検討していると答えたのはわずか2人で、トランプ氏への支持を撤回するとした人はいなかった。

イランとの戦争やガソリン価格上昇への不満を口にする人はいたが、多くはトランプ氏ならイランの核武装を阻止できると信じていたほか、インフレの責任を民主党のバイデン前大統領の政策に求める声も少なくなかった。

キリスト教系有権者団体「フェイス・ウィンズ」を率いる福音派活動家チャド・コネリー氏は「福音派は物価高を好まないが、同時に社会問題にも強い関心を抱いている」と説明する。

コネリー氏の話では、トランスジェンダー選手を巡る問題は、今選挙期間中に訪れた約24州のほぼ全てで大きな争点になっているという。

宗教と政治を研究する非営利団体「パブリック・レリジョン・リサーチ・インスティテュート(PRRI)」のロバート・P・ジョーンズ代表は、白人福音派の忠誠心は16年大統領選で成立した「大きな取引」の結果だと分析する。

多くの福音派は、トランプ氏の私生活上の問題には目をつぶる代わりに、中絶や性的少数者LGBTQの権利制限、保守的キリスト教価値観の推進、そして一部支持者が白人キリスト教的な国民アイデンティティーの維持につながると考える厳格な移民政策を期待してきたとされる。ジョーンズ氏は「この取引は、この集団にとってガソリン代よりもはるかに強力な意味を持っていることが証明されている」と語った。

<なぜ福音派が重要なのか>

白人福音派は米国の成人全体の約13%を占めるに過ぎない。しかしPRRIの調査と中立的なピュー・リサーチ・センターの分析によれば、24年にトランプ氏を勝利へ導いた支持基盤の約3分の1を占めていた。また過去3回の大統領選挙では、いずれも80%超がトランプ氏に投票した。一方で黒人福音派は圧倒的に民主党支持であり、白人福音派とは大きく異なる。

サウスカロライナ州だけでなく、議会の主導権を左右する可能性がある中西部のアイオワ州やカンザス州の上院選にも、白人福音派が影響を及ぼす可能性がある。これらの州では白人福音派が有権者に占める割合が比較的大きいからだ。

世論調査ではサウスカロライナ州の上院選は接戦で、共和党寄りの調査会社トラファルガー・グループが今週公表した調査では、グラム氏の支持率がアンドリュース氏を3ポイント上回っている。

ただグラム氏には課題もある。議席就任の経緯に対して一部保守派の間に不満が残っているためだ。トランプ氏の支援を受けた後も、8月に行われた共和党予備選の決選投票では連邦下院議員ラルフ・ノーマン氏をわずかな差で破ったに過ぎず、経験や保守性に疑問を持つ共和党支持者もいる。

それでもグラム氏への支持が必ずしも熱心ではない福音派有権者でさえ、他に選択肢がないと感じている。ビレッジ・チャーチの説教に参加し、予備選ではノーマン氏を支持したケビン・トーマスさん(53)は、やはりアンドリュース氏をトランスジェンダー問題で信用できないとして、最終的にはグラム氏に投票する考えを示した。「正直、気は進まないがグラム氏に投票することになると思う。サウスカロライナ州を代表する上院議員が向こう6年間、民主党になるという代償を払う気にはなれない」と語った。

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