Jonathan Saul Parisa Hafezi

[ロンドン 8日 ロイター] - イランがホルムズ海峡で自国の承認していない「違反航路」を封鎖すると表明したことを受け、海峡を通じた重要な原油輸送に従事するタンカーは、攻撃や威嚇にさらされるリスクが一段と高まっている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

先週は、米・イスラエルとイランとの戦争が始まって以降、同海峡でのタンカーに対する攻撃件数が最多となり、通航を試みる船舶数は2カ月超ぶりの低水準に落ち込んだ。

イラン政府に近い地域高官によると、同国は周辺諸国に対し、新たな石油輸出ルートの開設を試みれば敵対行為とみなすと警告した。こうした方針はイランの政治指導部と革命防衛隊が合意した計画の一環という。

またイラン側から説明を受けた地域の外交筋はロイターに「イランはホルムズ海峡の支配が自国の手から離れることを断じて許さず、一部の地域諸国が計画する石油輸出ルートを阻止する準備を整えている」と述べた。

同筋によると、阻止策には船舶へのミサイルやドローン(無人機)による攻撃、あるいは小型船を送り込んで船舶を威嚇し、接近を断念させることなどが含まれる可能性がある。

複数の関係者は、ここ数カ月間ペルシャ湾岸地域の産油国が海峡のオマーン側沿いの航路を利用して原油を輸送し、その後オマーン湾の公海上で積み替える手法を急速に拡大して、この際に米国の航空支援も受けていると説明した。

しかし過去24時間で新たな攻撃事案も発生。英国海軍の海事機関UKMTOによると、カタール沖約51海里の湾内でタンカーが飛来物による攻撃を受けた。さらに海上保安関係者の話では、カリブ海の島国アンティグア・バーブーダ船籍の化学品タンカー「アセルス」が、カタール北部マディナト・アシュ・シャマル沖で複数の飛来物の攻撃を受け、乗組員が軽傷を負った。

海事リスク分析会社クリアウォーター・ダイナミクスは8日の報告書で「アセルスへの攻撃は、カタール、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、イラクへの航路周辺まで戦闘区域が拡大する可能性を示している」と指摘した。

海運業界団体BIMCOの安全保障責任者ヤコブ・ラーセン氏は「最近相次ぐイランによる攻撃によって、船主のホルムズ海峡を通航する意欲は低下しているようだ。イランからの脅威は高まっている」との見方を示した。

デンマークの海運大手マースクは8日、中東情勢の継続を理由に、英国とアイルランドにおける内陸輸送向け緊急燃料サーチャージを引き上げると発表した。

英国海軍のポール・メイナード少将(海軍参謀次長補)は、今週ロンドンで開かれた英国海事会議で「過去数十年間の安定と繁栄の時代へ戻ることはできない。海上での戦争は、海上だけにとどまるものではない」と警鐘を鳴らした。

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