Leigh Thomas Gabriel Stargardter
[パリ 8日 ロイター] - フランス大統領選の有力候補たち、特に極右政党「国民連合(RN)」の実質的な指導者で支持率首位のマリーヌ・ルペン氏が、年金受給開始年齢の引き上げを公約するかどうかが、今後のフランス国債利回りの上昇幅を左右する--。RBCブルーベイ・アセット・マネジメントの市場戦略責任者を務めるマイク・ベルがロイターのインタビューで、こうした見方を示した。
フランスでは国債が売られて利回りが高騰。背景には脆弱な財政状況と、2027年前半に予定される大統領選を巡る政治的不透明感がある。
年金はフランスの公的支出の中で最大の項目で、来年は4360億ユーロに達し、国内総生産(GDP)の14%を占める見通し。ただ年金受給者の購買力を損なう政策への抵抗感は根強く、高齢者はルペン氏率いる国民連合の重要な支持層でもある。
ベル氏は「市場は、勝利の可能性が最も高い候補者、世論調査ではルペン氏だが、その人物が退職年齢引き上げ政策を実施するかどうかを見極めたいと考えている。それがなければ市場の圧力は高まり続ける」と述べた。
ルペン氏はこれまで、早くから働き始めた人を対象に退職年齢を60歳へ引き下げる方針を支持してきた。6日に自身の予算計画の大部分を公表したが、年金改革の詳細には触れず、数週間以内に発表するとしている。
ベル氏は、退職年齢を現状維持する候補者の当選可能性が高まれば、投資家がフランス10年国債を保有する際に求めるドイツ国債との利回り格差が最大200ベーシスポイント(bp)まで拡大する可能性があると警告した。このスプレッドは2日に150bpを上回り、11年後半以来の高水準を記録した。
運用資産残高5980億ドルのRBCブルーベイはフランス国債を保有しているものの、あえて組み入れ比率を高めていない。ベル氏は27年4月18日から5月2日にかけて実施される大統領選までなお時間がある中で、フランス国債への投資を増やすには「かなり勇気が必要だ」と語った。
一方でフランス国債のさらなる下落を見込んだ空売りにはリスクも伴うと述べ、その理由として既に相当程度のリスクが市場価格に織り込まれている点を挙げた。
フランスは先進国の中でも退職年齢が低い国の1つで、出生年によって異なるものの平均的には62.9歳となっている半面、平均寿命は比較的長い。昨年には政府が、26年予算成立に向けて社会党議員の支持を得るため、退職年齢を62歳から64歳へ段階的に引き上げる23年改革の実施を停止した。
ベル氏は、ルペン氏が大統領選で勝利した場合、欧州中央銀行(ECB)との対立が生じる可能性もあると指摘。「強いフランス民族主義を掲げる指導者が、借り入れコスト抑制のために何をすべきかをECBから指示され、それを素直に受け入れる状況は想像しにくい」と付け加えた。
これに対してECBや欧州連合(EU)の一部関係者は、フランス国債利回りの高止まりを次期大統領に財政規律を促す手段とみなしている可能性がある、というのがベル氏の分析だ。ECBの国債買い入れ支援制度、伝達保護措置(TPI)は、EUの財政ルールを順守している国のみが利用できるが、フランスは現時点でその条件を満たしていないという。