Marcela Ayres Lisandra Paraguassu

[ブラジリア 5日 ロイター] - ブラジルのルラ大統領は、再選された場合にアルキミン副大統領を来年、財務相に起用する案を検討している。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。政権の財政運営に対する信頼を高め、大統領選第1回投票で予想を上回る支持を集めたフラビオ・ボルソナロ上院議員との決選投票に向けて、中道層の取り込みを図る狙いがある。

関係者は、検討されている案ではアルキミン氏は副大統領を続けながら財務相を兼務して経済政策に対する権限を強める方針で、協議は継続中だと説明した。

ブラジル大統領府はコメント要請に回答しなかった。

中道派のベテラン政治家であるアルキミン氏は、2006年の大統領選でルラ氏に挑戦して敗れた経歴を持ち、サンパウロ州知事を2期務めた。今年4月まではルラ政権で開発・商工相を兼務し、米国がブラジル製品に広範な関税を課した後は、対米交渉の重要な窓口となっていた。

アルキミン氏は財界と太いパイプを持ち、ルラ政権内の穏健派と広くみられていることもあり、ルラ政権が左派色を強める中でその影響力が十分に発揮されていないとの指摘もある。

ルラ氏は22年の大統領選でもアルキミン氏を財務相に起用することを検討したが、第1回投票と決選投票を経て当選した後、最終的に自身の所属政党のフェルナンド・アダジ氏を財務相に据えた。

通算4期目を目指すルラ氏は4日の大統領選第1回投票では、ジャイル・ボルソナロ前大統領の長男で、トランプ氏の盟友でもあるフラビオ氏に次ぐ2位となった。事前の世論調査の多くはルラ氏が僅差で首位に立つと予想しており、選挙結果は予想外と受け止められた。

ルラ政権発足後、ブラジルの政府総債務は国内総生産(GDP)比で10ポイント超増え、82・9%に達した。インフレ率が過去の平均を下回り、経済成長が予想を上回っているほか、失業率が過去最低の水準となり、実質賃金も上昇しているものの、債務増加は左派のルラ氏にとって大きな弱点となっている。

こうした状況に伴ってルラ氏は4日、第1回投票の結果が判明した後、決選投票に向けた戦略でアルキミン氏を重視する姿勢を表明。アルキミン氏のサンパウロ州政運営と自身の過去の政権運営を挙げて「財政政策や財政責任について、私やアルキミン氏に説教できるだけの道義的権威を持つ者は、この国には誰もいない」と述べた。

関係者の話では、アルキミン氏の権限を強めることで、財政運営に不安を抱きながらもボルソナロ氏への投票には抵抗があり、ルラ政権が大衆迎合的な傾向を強めているとして失望している有権者の支持を取り込める可能性がある。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。