Marc Jones

[ロンドン 5日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)のエルナンデス・デコス総支配人は5日、中央銀行は今後も金融危機対応において中心的な役割を果たすものの、公的債務の増大やその他の重要な変化により、その任務はより困難で物議を醸すものになる可能性があるとの見方を示した。

デコス氏はウィーンでの講演で、過去20年間に相次いだ危機は、中銀の迅速な対応が市場の混乱を鎮める上でいかに重要であるかを示したと指摘。同時に、次の危機を取り巻く環境は急速に変化しているとの見方も示した。

多くの国・地域で公的債務の水準は第2次世界大戦後の最高水準に近づいており、財政赤字も依然として大きく、財政面の圧力は今後も続くと予想されている。このため、介入を必要とする市場の機能不全と、政府財政を巡る投資家の正当な懸念を中銀が区別することが難しくなる可能性がある。

足元では世界的に債券利回りが急上昇し、独仏10年債利回り格差は先週、125.90bpと2012年6月以来の高水準となった。

こうした中、デコス氏は「市場の機能不全が金融の安定や金融政策の波及を脅かす場合、中銀は介入する必要がある」と言明。その上で「ただ、債務水準が高く、公的な資金調達ニーズが大きい時には、綿密に設計された措置であっても、財政的な観点から解釈される恐れがある」と語った。

さらにデコス氏は、ヘッジファンドや年金基金、資産運用会社といった「ノンバンク金融機関」の影響力が高まっている点にも言及。これら金融機関は国債の主要な保有者となっており、平時には市場の流動性を支える一方、レバレッジの活用や市場ベースの資金調達により、混乱時にはストレスを増幅させる可能性があるとし、2020年3月の米国債市場での「現金への殺到」や、22年の英国債市場の危機をその証拠として挙げた。

デコス氏は、来年に任‌期満了となるラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の後任の有力候補の一人と目されている。

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