Aditi Shah Maki Shiraki

[ムンバイ/東京 5日 ロイター] - ホンダがインド大手財閥タタ・グループ傘下のタタ・テクノロジーズとの提携を通じ、現地向け四輪車開発のコスト削減と期間短縮を目指していることが分かった。電気自動車(EV)の開発中止や中国勢との競争激化で四輪車事業の収益低迷が続く中、ホンダは創業以来の自前主義を転換し、注力するインドで現地企業の力を取り入れてコスト競争力と開発スピードを高める。

事情に詳しい関係者2人が明らかにした。エンジニアリング会社のタタ・テクノロジーズに一部の車両開発を委託し、最大20%の開発コスト削減と現在約5年かかっている開発期間の半減を見込んでいる。 関係者らによると、タタ・テクノロジーズによる開発は、インドで最も売れている小型スポーツ多目的車(SUV)セグメントのモデルが第1弾となる見通しで、関係者1人によれば、中型SUVが第2弾となる。別の関係者の1人は、品質・販売・収益の面で成功すれば、ホンダがインドから輸出する機会にもつながると語った。

タタ・テクノロジーズは5月、日本の自動車メーカーの車両開発を受託したと発表。相手先の社名を明らかにしていなかった。関係者3人によると、委託したのはホンダだった。ホンダは全社を挙げてグローバルで四輪のコスト削減に取り組んでおり、ロイターは9月、2030年までに1兆5000億円の原価低減を目指し、主要なサプライヤーにも調達部品のコスト削減を求めていると報じた。

ホンダの広報はロイターの取材に対し、タタ・テクノロジーズとの協業、具体的な内容についてコメントを控えた。その上で、価格に見合った価値を提供できる「十分な商品ラインアップを(インドで)展開できていない」と説明。現地の顧客ニーズに対応したインドの戦略車を最速で投入する競争力強化戦略の一環として「外部企業とさまざまな協業の可能性を常に検討している」とした。

タタ・テクノロジーズにもコメントを求めたが、回答を得られなかった。

関係者3人によると、タタに開発委託を決めるまでにホンダの日印チーム間で紆余曲折があったという。 日本側が品質と安全性を確保するため既存のサプライヤーを使うことを主張する一方、インド側はコスト削減と開発ペースを加速するために現地のサプライヤーの活用を訴えた。

ロイターは日印間の話し合いがどのくらい続いたかは特定できなかったが、関係者らによると、一部製品開発の期限に影響した。関係者の1人は、タタへの委託は2年ほど議論して最終決定に至ったと明らかにした。

タタ・テクノロジーズは、印自動車大手タタ・モーターズから分離したエンジニアリング会社。関係者らによると、現地サプライヤーとの幅広いネットワーク、現地市場のニーズに合った車両設計ができることなどをホンダは評価した。独BMWなどとの取引実績もプラスに働いたという。

関係者1人の話では、委託後もホンダが品質基準を満たすための工程を監督し、技術、コネクテッド機能、運転支援システムなどの領域も主導権を維持する。

ホンダ広報は、サプライヤーを巡る日印間の意見の相違について、「次世代開発に向けて日々議論を重ねているが、そうした事実はない」と否定した。ホンダ・インディアの広報は、製品開発は異なるチームの緊密な協力が必要で、協働的な議論を「意見の相違」と表現するのは正確ではないと回答した。

ホンダの三部敏宏社長は5月の戦略説明会で、「四輪のコスト競争力は不十分だった」と振り返り、「中国やインドなどのコスト競争力、業界標準品の活用など外部リソースを柔軟かつ戦略的に活用する」方針を表明。インドでの商品展開については、市場環境や顧客ニーズに「しっかりとマッチしたインドベストの性能要件を再定義」し、小型SUVと中型カテゴリーの戦略車を「社外を含む現地開発リソースを積極的に活用しながら」、28年から投入するとしていた。

ホンダは、世界最大の自動車市場である中国で急速なEVシフトと中国勢との激しい価格競争にさらされ販売が苦戦している。一方、世界3位の市場規模のインドは今後も中間層の拡大が見込まれ、中国の不振を補いたいホンダにとって欠かせない。

ホンダのインドでの市場シェアは、ピークだった10年以上前の7.3%から足元1.3%に低下している。25年の販売実績ではマルチ・スズキが約4割と圧倒的な首位で、マヒンドラやタタ・モーターズが約13%をそれぞれ握り、手ごろな価格で装備の充実した現地の競合他社に「後れを取っている」(関係者)。

(Aditi Shah、白木真紀 取材協力:Daniel Leussink 編集:David Dolan、Thomas Derpinghaus 日本語記事編集:久保信博)

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