Yoshifumi Takemoto
[東京 5日 ロイター] - 高市早苗首相は5日召集の臨時国会で所信表明演説に臨み、看板政策の「責任ある積極財政」について、経済成長の重要性を改めて訴えるとともに財政規律も重視する姿勢を示した。国債発行額を制御するほか、市場が想定外の動きを示した場合は「必要な対応を機動的に講じる」と述べ、政権発足以降に進んだ円安・金利上昇に対する配慮を前面に出した。
高市氏は「責任ある積極財政」の説明に一定の時間を割いた。国内投資を引き出して「GDP(国内総生産)拡大下での好循環」を実現すると主張する一方、「政府が単に歳出を増やすということではない」、「強い経済と財政の持続可能性をともに実現する、新しい経済財政運営を始める」と訴えた。
財政の持続可能性は「当然の前提」とした上で、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げる目標を中核に位置付けるとした。プライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)は複数年度で管理し、「経済成長がもたらす効果も踏まえ、経済、物価、税収、金利、利払い費、市場の状況などを総合的に検証しながら、通年の国債発行額を適切にコントロールする」と述べた。
高市氏の経済政策に対し、金利上昇と為替の円安で反応しがちな金融市場との対話に力を入れる方針も示した。「経済や市場が想定と異なる動きを示した場合には、その影響を十分に分析し、必要な対応を機動的に講じる」、「政策を着実に実行し、一つ一つ確かな結果を積み上げ、その内容を国民や国内外の市場関係者に丁寧に説明する。高市内閣は、正攻法で、市場の政府に対する信頼を高めていく」などと語った。
臨時国会で関連法案が焦点となる飲食料品の消費税減税については、「家計に少しでもゆとりを生み出したい」と狙いを説明。財源は「市場の信認を得られるよう、特例公債に頼らずに確保することとしており、御心配には及ばない」と述べた。
人工知能(AI)など17分野で2040年度までに累計370兆円超の官民投資を進める成長戦略は、今後5年間の国内投資の道筋を示す「日本成長戦略実行計画」を年内に策定するとした。「必要な投資は先送りしない」とする一方、「費用対効果を継続的に検証し、見直しを行い、効果の乏しい事業を漫然と続けることはしない」と語った。
また、ホルムズ海峡封鎖など中東産原油の調達難を念頭に、「調達先の多角化とリスク分散を徹底することにより、エネルギー調達基盤を抜本的に強化するための制度を整備する」ことを明らかにした。
外交と安全保障では、台湾有事を巡る昨年11月の国会答弁以降に関係が冷え込む中国に言及。「重要な隣国であり、課題がある中にも長年の積み重ねがある」とし、「戦略的互恵関係を包括的に推進する」と述べた。東シナ海や南シナ海の問題、人権上の懸念、日本人の安全など「主張すべきは主張」すると同時に、「建設的かつ安定的な関係を構築する」とした。
米国が批判する 国際刑事裁判所(ICC)など国際裁判所への支持を改めて打ち出したものの、ICCの赤根智子所長が米国の制裁対象になったことには触れなかった。