日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。
2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。
先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。
「食」の課題に本業の知見で向き合う
海外からの投資を追い風に目覚ましい経済成長を続けるベトナムだが、その恩恵がすべての地域に同じように届いているわけではない。山岳地域では、貧困や子供の栄養不良、給食環境、栄養・衛生知識などに課題が残る。こうした状況に「食」を本業とする企業として向き合っているのが森永乳業株式会社だ。
牛乳やヨーグルト、アイスクリームをはじめとする乳製品に加え、育児用ミルクや機能性素材の開発・製造・販売を手掛ける森永乳業は、「サステナビリティ中長期計画2030」で掲げる「食とウェルビーイング」の実現に向け、2023年5月にベトナムの山岳地域で給食支援プログラム「Smiles & Health for Children」を開始した。
きっかけは、ベトナムで事業を拡大するなかで、都市部と地方、特に山岳地域との間で大きな格差が存在しており、山岳地域が抱える子供たちの健康・栄養に関する社会課題を知ったことだった。「事業を展開する企業として、商品を届けるだけでなく、地域の子供たちの食と健康の環境や学びにも向き合いたいと考えました」と森永乳業の担当者は語る。日本で培ってきた「食」と「健康」の知見を、子供たちの未来を支える力にしたいという思いから始まった取り組みだ。
給食施設や食事スペース、調理備品などを整備するハード面と、教員や保護者への栄養・衛生教育、子供の健康測定、菜園支援、支援後のモニタリングといったソフト面を組み合わせた支援であることが特徴だ。施設をつくって終わるのではなく、地域が自ら使い続け、課題を見つけ、改善していく「地域自走型」の給食支援を目指している。
実際、活動を続けるなかで、電気のない幼稚園への太陽光パネル設置や近隣住民による土地提供、栄養を意識した食材の追加など、地域側から新たな動きが生まれた。