Andreas Rinke Felix Hoske

[キーウ 4日 ロイター] - ドイツのメルツ首相は4日、ウクライナ首都キーウを訪問し、ロシアによる脅しに屈してウクライナへの支援を撤回することはないと表明し、10億ユーロ(11億ドル)の追加軍事支援を実施すると発表した。

メルツ氏はウクライナのゼレンスキー大統領とともに、4年間にわたる戦争で死亡した兵士の追悼施設や、先週のドローン(無人機)攻撃で少なくとも2人が死亡した科学アカデミーを訪れた。キーウでは滞在中、空襲警報が繰り返し鳴り、爆発音も聞かれた。

ロシアはここ数週間、キーウなどの都市へのドローン攻撃を激化させ、通信や電力、交通インフラのほか、軍事施設を標的にしている。

メルツ氏はゼレンスキー氏との共同記者会見で、ロシアがウクライナ国民の士気をくじこうとしていると指摘。エネルギー部門の復旧に3億5000万ユーロを拠出すると発表し、ドイツは引き続きウクライナに対する最大の支援国だと強調した。

さらにメルツ氏は「われわれがこれを行うのはウクライナの領土保全を守るためだけではない。欧州の安全保障に関わる問題であり、われわれ自身の利益のためでもある」と述べた上で、ロシアによるサイバー攻撃や偽情報活動が欧州の民主主義秩序を脅かしているとして「(支援は)われわれが脅迫に屈しないことを示している」と語った。

複数のドイツ政府高官によると、メルツ氏に同行した企業幹部らは、ウクライナ政府や同国企業と計14件、総額約66億ユーロの契約を締結した。ウクライナはドイツ防衛企業ディール・ディフェンスと防空ミサイル「IRIS-T」の供給で合意したほか、ヘンゾルトとはレーダー装備、クアンタム・システムズとはジェット式ドローン迎撃機を巡る契約を結んだ。

ゼレンスキー氏は「今回の訪問で重要なのは、ドイツがウクライナを支援するだけでなく、ウクライナも知識や経験、受注を共有していることだ。これはドイツの雇用につながる」とその意義に言及。クアンタム・システムズが開発した「SPYS」と呼ばれる新型ジェット式ドローン迎撃機について、有望な成果を示していると評価した。またウクライナとドイツは幅広い防衛協定の締結に近づいていると明らかにした。

ロシアがこの夏以降、民間・軍事インフラを狙って連日数十機を投入している高速のジェット式攻撃ドローン数は、従来のプロペラ式に比べて速度が大幅に速く、ウクライナ側は迎撃に苦戦している。

キーウのクリチコ市長の話では、4日のロシア側の攻撃の1つはドニプロ川に架かるノーザン橋に命中し、路面が損傷するとともに爆発で2人が負傷し、周辺の温水供給設備も被害を受けた。

ゼレンスキー氏は、ロシアがインフラへの空爆を激化させているのは、戦場で後退を余儀なくされているためだと主張し、ウクライナ側も報復すると表明した。ロシアのプーチン大統領がウクライナの主要都市から住民を退避させようとしているとの見方を示した。

一方ゼレンスキー氏は、米国のウィットコフ和平担当特使から、3者協議をできるだけ早く再開するよう求めるメッセージを受け取ったとも発言。ウクライナは今月中の協議に応じる用意があり、ロシアの参加を期待していると説明しつつも、戦争を終結させるには西側諸国がロシア政府への圧力を一段と強める必要があると訴えた。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。