Elizabeth Piper
[国連 22日 ロイター] - バーナム英首相は22日、米ニューヨークの国連本部で開かれている国連総会で初の一般討論演説を行い、人工知能(AI)が安全対策を上回る速さで進化し、国家安全保障上のリスクが増大していると指摘し、AIの国際基準策定に向けた取り組みを英国が主導する用意があると表明した。
この10年で7人目の首相となるバーナム氏は、英国の外交的地位を再構築し、国際舞台で役割を担うための取り組みの柱にAIを据えた。米国との緊密な関係、改善しつつある欧州連合(EU)との関係、中国やインドとの良好な関係を挙げて、英国を「誠実な仲介者」と位置付け、主導的な役割を果たす考えを示した。
同氏はかねて、AIを巡って「破滅論者」になるのではなく、AIがもたらし得る大きな恩恵を追求する一方、安全対策が技術の進歩に追い付かないリスクや、敵対勢力による情報戦への悪用といった危険性を明確に認識する必要があると述べている。
演説では「われわれは皆、警告を耳にしてきた。それを真摯に受け止めなければならない」とし、「人々がどれほど懸念しているかは承知している。今こそ、この局面に立ち向かわなければならない」と述べた。
「ロシアの政府機関は、利用可能なあらゆる手段を使い、虚偽や偽情報を広め、人々の不安をあおってきた」と指摘し、「彼らは、ボットや偽サイトを使った。新聞記事を偽造した。大学や英BBCを含む英国の28組織のブランドを偽装した。極右の主張を増幅させた。2019年の総選挙に干渉しようとした証拠もある」とした。
AIに関する根本的な判断はテクノロジー企業に委ねるのではなく、選挙で選ばれた政府が下すべきだと指摘。27年の20カ国・地域(G20)議長国として、AIを主要課題に据える方針を示した。
「備えを強化するために必要な透明性と情報へのアクセスを確保し、AI開発の安全を確保するため、単一の世界的な原則と基準の合意を目指す」と述べた。
英国には世界をリードするAI安全保障研究所があり、AIの安全性を巡り米国や主要研究機関と緊密に連携していると説明。ただ、さらに踏み込む必要があるとした。
その上で、国家情報防衛センターを新設すると発表した。同センターは、敵対国による情報攻撃の検知、発信元の特定および妨害、英国の利益を損なうディープフェイクの特定を担う。
首相府によると、政府当局者はAI業界の首脳らとの協議で、英国の備えと強靱(きょうじん)性を高めるため、新たな最先端モデルについて完全な情報開示を期待していることを明確に伝えた。