Antoni Slodkowski
[国連 22日 ロイター] - 国連のグテレス事務総長は22日、国連総会での最後の演説で、人工知能(AI)の規制、戦争の終結、気候変動への取り組み、深刻化する世界的課題への対応に苦慮している国連機関の抜本的な改革を訴えた。グテレス氏の2期目の5年の任期は12月31日に満了する。
同氏は演説で、AIリスクに対する世界的な監視を改めて呼び掛け。「この技術革命を主導する国々は、新たな安全上のリスクに関する情報を共有し、試験と評価で協力し、われわれ全員を守る共通のセーフガードに向けて取り組まねばならない」と述べた。
また、各国指導者に対し、「AIの責任ある進展のための条件と、リスクに対処するために必要な追加のセーフガードを推進すること」、そして「信頼性と独立性を備えた監視に支えられた、多国間のAIリスク管理の枠組みに向けて取り組むこと」を要請した。
グテレス氏は長らくAIのグローバルガバナンスを推進してきた。国連は2023年、AIに関する諮問機関を設立。メンバーにはIT企業幹部、政府高官のほか、米国、ロシア、日本などの学識経験者が名を連ねている。
中東情勢を巡っては、「緊張緩和と対話」を呼び掛けた。「共にこの議場から明確なメッセージを送ろう。戦闘を止めなければならない。人道支援を届けなければならない。そして、国際法に従って航行の権利と自由を完全に回復させなければならない」とグテレス氏は述べた。
さらに、環境問題では、汚染者負担の原則を徹底すべきとも改めて訴えた。これは同氏が国連トップとして10年間にわたり掲げてきた主張である。
グテレス氏はまた、国連組織内の機能不全にも言及した。約130人の各国首脳がニューヨークに集まったものの、中国の習近平国家主席をはじめ、南アフリカ、インド、ドイツの指導者らは出席を見送った。
さらに、トランプ米大統領らからは、国連システムが肥大化して機能していないとの批判が上がっているほか、米が複数の国連機関から脱退し拠出金も大幅に削減している。こうした中、グテレス氏は「集団行動のためのわれわれの仕組みは、ますます強い圧力にさらされている」と述べ、国際機関は「大部分がすでに過ぎ去った時代の権力の現実と利害を、依然として反映している」と指摘した。
今回の演説は、大国が国連を迂回(うかい)する動きを強め、米政府が拠出金を大幅に削減する中でも、グテレス氏が国連を紛争の仲介者、新興技術のガバナンスの場として位置付けようとしてきた10年間の任期の総決算となった。
「1月1日、私はもはや事務総長ではないが、これだけは確信してほしい。私がどこにいようと、何をしていようと、平和は可能であるという信念を掲げ続ける」と強調した。「私は国連憲章の価値のために立ち上がり続け、決して、決して諦めない。ありがとう」と締めくくった。