「事故物件」は昔から存在した
ちなみに凶宅には、そこで不幸に遭う人がいる一方、そこに住むことによって大きく運が開けた――凶宅を福に転じた――人もいるようだ。
その違いは一体どこにあるのか……を考えることは、孤独死や空き家率の増加で、今後ますます事故物件に遭遇する確率の高い世界に住むことになる我々にとって、一条の光を見いだすことに重なるはずだ。(「はじめに」より)
そこで本書では、歴史や古典文学に現れるワケあり住宅や土地を紹介し、その裏に潜む人の心模様に迫っている。
なかでも印象的だったのは、国立感染症研究所が建つ土地についての記述である。
ご存知の方も多いだろうが、旧陸軍軍医学校跡地であったため、「731部隊の戦争犯罪に関係しているのではないか」と住民や研究者から指摘されたことがあった場所だ。
731部隊は、第二次大戦中に捕虜らを対象とした凍傷実験やチフス実験など、多くの人体実験を行っていたといわれる旧日本軍の部隊。森村誠一による1982年のノンフィクション『悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像』も大きな話題を呼び、その存在が広く知られるきっかけの一つとなった。
しかも著者によれば、江戸時代には尾張藩の江戸藩邸であったこの「戸山屋敷」には、いわくつきの“社(やしろ)”があったのだという。
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