しかし肝心の経済争点に関してはどうだろうか。共和党が選挙を介して多数派の支持を得るために、個別具体的な政策や財政再建のための構想、あるいは有権者動員のための組織化を進められているかといえば、大きな疑問符が付くだろう。トランプ支持者の吹聴する陰謀論が、これらのことをなし得るとはとても思えない。またコロナ禍を発端とする経済不況に共和党が有効なヴィジョンを提示できているかといえば、現状では首を傾げざるを得ない。リラの言う通り、今後4年間の共和党の再生は、アメリカの民主政にとって大きな岐路となるかもしれない。
「キャンセルカルチャー」は、この数年間デジタルメディアを主戦場として起きた様々な批判現象の総称である。銅像の撤去はそのごく一部にすぎない。だが、特にトーニー裁判官の像に関しては、アメリカ合衆国憲法と統治機構の変遷を考える上で象徴としての意味合いが大きいので私は言及せざるを得ない。冒頭の写真の空になった座席は、記憶の破壊として理解するべきなのだろうか。それとも古い土台の上に新たな記憶と展望が引き継がれる機会としてみるべきだろうか。