Miho Uranaka Rocky Swift
[東京 11日 ロイター] - 人工知能(AI)関連に特化した140億ドル規模(約2兆円)のファンドを運用する米ヴォヤ・インベストメント・マネジメントのリード・ポートフォリオマネジャー、セバスチャン・トーマス氏はロイターとのインタビューで、日本企業には魅力的なAI関連銘柄が数多く存在するものの、大型ファンドが投資する上での最大の障壁は流動性との見方を示した。同氏は半導体メモリー大手キオクシアホールディングスについて、米上場が実現すれば投資対象としての魅力が高まる可能性があると期待する。
トーマス氏が運用する「グローバルAI戦略」の運用資産約140億ドルのうち、約50億ドル(約8000億円)は日本の投資家資金が占めるが、現在は日本企業を組み入れていない。
同氏は「特に日本にはAIサプライチェーンの一部を担う興味深い企業が数多く存在する」と指摘。その一方で、「課題は、われわれが投資できるだけの十分な流動性を持つ企業を見つけることだ」と語った。
キオクシアは5月、投資家層の拡大を目的として米国で米国預託株式(ADS)を上場する準備を進めていると発表した。今年に入りAI向けメモリー需要拡大の恩恵を受ける銘柄として市場の注目を集め、株価は急騰。ただ、6月末以降は調整含みとなっている。
トーマス氏によると、ヴォヤは過去に日本の半導体製造装置関連企業へ投資した実績があり、現在もアドバンテスト やキオクシアなどを調査対象としている。ただ、140億ドル規模のファンド運用では売買のしやすさが重要な要素になるという。
同氏は、キオクシアが米国市場で取引されるようになれば投資判断に影響する可能性があるとの見方を示した。韓国半導体大手SKハイニックス が7月に米ナスダック上場を果たした後、米市場での流動性が高まった例を挙げ、「ADSは本国市場の株式より流動性が高くなるケースが多い」と説明。流動性の改善が海外の大型資金を呼び込む鍵になるとの見方を示した。
同ファンドは三井住友DSアセットマネジメントと提携し、今月で設定10周年を迎えた。設定以来の累積リターン(分配金再投資 ベース)は約600%にも上る。
投資先は米半導体大手エヌビディア などAIインフラ企業に加え、AI活用の恩恵を受ける企業にも広がる。トーマス氏は米製薬大手イーライリリー を例に挙げ、AIはテクノロジー業界だけでなく、金融やヘルスケア、産業などさまざまな分野の競争環境を変えつつあると述べた。