Yoshifumi Takemoto

[東京 11日 ロイター] - 元財務官の中尾武彦氏(国際経済戦略センター理事長)はロイターの取材に応じ、米国は過度の円安による日本経済の弱体化を懸念している、との見方を示した。同時に、日本国債の金利上昇が米国債金利に波及する可能性があるため、米国は「日銀の利上げの動き方が遅いと明確に思っている」と語った。

円安是正のためには現時点でマイナスの実質金利がプラスになるまで日銀は決定会合ごとに継続的な利上げを実施することはあり得るとし、1回の利上げ幅も0.25%に限定する必要はないとも話した。ターミナルレート(利上げの最終到達点)は2.25%程度までの引き上げの可能性を予想した。

<「リフレ政策やめてくれ」の意味だろう>

ベセント米財務長官が日本の財政・金融政策に対して発信を続けている。中尾氏は「ベセント長官が片山さつき大臣などに具体的にどのような要求をしてきているのかは知らない」としつつも、「米国は重要な同盟国である日本が過度な円安などで国力を失わないでほしいと思っている」と述べた。

同時に「日本の金利が上昇すると米国債金利に波及する可能性がある。金融市場のボラティリティを減らしたいのに日銀の利上げの動き方が遅いと明確に思っている」と指摘した。

ベセント長官の「今はタカイチノミクス」との発言に関しては「『リフレ政策をやめてくれ』という意味だと思う。ここまではっきり言うのはめずらしい。今までは『正しい政策を行うと信じている』というような言い方だった」とも語った。

発言の背景として「イラン戦争などで不確実性が高まっていること、人工知能(AI)関係の投資の資金需要でマーケットに負荷が来ているということもあるだろう」と分析した。

その上で中尾氏は「米国の主張は経済学の基本的な考え方に沿ったもの」と強調した。

<毎回の利上げおかしくない、0.25%に限る必要ない>

7月の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は前年比1.8%の上昇だが、ガソリン補助金などの押し下げの影響が0.23ポイントと総務省は試算しており、その影響を除くと2%超となる。

中尾氏は、日銀が「インフレ期待の2%を目指すなら、実質金利をプラスに転換するには政策金利を現在の1.0%から着実に引き上げ、2.25%ぐらいに行ってもおかしくない」とした。

「米連邦準備理事会(FRB)が行ったように、政策決定会合ごとの利上げを日銀が実施することも考えられる」とも述べ「1回の引き上げ幅も0.25%に限る必要はない」などと話した。

7月に日米が実施した協調為替介入は、「日本の過度の円安を米国も懸念しているとの米国側の明確なメッセージ」と分析。「(日米の)どちらがお願いしたというよりも、米財務省と日本の財務省は考え方を共有しており、それに従い協力したということだと思う」と述べた。

*インタビューは10日に行いました。

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