Takahiko Wada Leika Kihara
[東京 11日 ロイター] - 日銀は17─18日の金融政策決定会合で、政策金利を引き上げる見通し。利上げ幅は0.25%となる公算が大きい。複数の関係筋が明らかにした。基調的な物価上昇率が2%に接近する中で、原油価格上昇や人工知能(AI)需要の高まり、為替円安による物価の上振れリスクが根強いことに対応する。利上げ後も金融環境は緩和的な状況が続くとの見方から、基調物価2%程度の定着へ、利上げを継続する方針も示すとみられる。
日銀が利上げに踏み切れば6月以来3カ月ぶりで、前回の6カ月間隔からペースが加速する。政策金利が1.25%となれば、1995年4月以来の高水準。
日銀では、経済・物価は7月の決定会合で取りまとめた「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)に沿って推移しているとの見方が多い。
展望リポートでは物価上振れ要因として、中東情勢の緊迫化に伴う諸コストの上昇、AI需要の高まり、為替変動を挙げた。このうち、中東情勢に関連して原油価格は7月展望リポートの予想を上回って推移している。為替はここに来て急速に円高に振れたが、日銀では、ドル/円は7月下旬に一時164円近くまで円安に振れており、その間の円安が先行きの物価上昇圧力になるとの見方が出ている。
値上げの本格化で、日銀は秋にかけて物価上昇が加速するとみている。ただ、関係筋によると、物価は想定通りの推移で、急上昇しているわけでも物価上振れリスクが新たに浮上しているわけでもなく、0.5%の利上げは必要ないとの声が多い。
日銀は段階的に利上げを実施してきたが、金融環境は引き続き緩和的との見方が多い。増一行審議委員は10日の講演で、金利が上昇する中でも1年物や2年物の実質金利が「いまだにマイナス」だと指摘、デフレではない状況下で「実質金利がマイナスという状況は早く解消すべき」と述べた。
一方、浅田統一郎委員が6月の利上げに反対票を投じるなど、一部の審議委員は利上げに慎重な姿勢を示している。日銀は、これまでの利上げの影響を丁寧に見極める方針だが、関係筋によると、日銀内では、1.25%への利上げ後も金融環境は緩和的な状況が続くのと見方が出ており、利上げを継続する方針を示すとみられる。
7月の決定会合では、植田和男総裁が記者会見で「物価情勢をにらみながら、このままでは金融環境が緩和的に過ぎると思えば、それは利上げのペースを速めるということも十分あり得る」と述べ、利上げペース加速の可能性に踏み込んだ。今回の会合後の会見でも、植田総裁から改めて同様の発言がある可能性があるが、ある関係筋は、将来の利上げの具体的な時期にコミットすることを避けるため、そうした表明に条件を付けるなどしてバランスを取るとみられると指摘する。
日銀では、追加利上げのタイミングや政策金利の最終到達点(ターミナルレート)について前もって目線が定まっているわけではない。しかし、基調物価が2%にかなり近づいている中で、2%への定着に向け、現状は「機動的な対応が必要な局面」との声があり、毎回の決定会合ごとに情勢の変化がないか注視していく方針だ。