[フランクフルト 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は10日、広く予想されていた通り今年2度目の利上げを決定した。
ラガルドECB総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。
<食料価格について>
われわれは将来的により高い食料価格を織り込んでいる。予想より長引くこのエネルギーショックが続けば、(インフレは)波及していくと考えるからだ。
<低いが長続きするインフレ>
われわれはインフレ面でも驚かされた。ある意味で予想より低いインフレを目にしてきたからで、特に食料でその傾向が顕著だ。つまりより高い底堅さ、より良い経済の調整、より低いインフレ、だがより長続きするインフレということだ。従って、われわれはこれを踏まえて予測を修正している。
<債務帳消し論について>
それは財政的に危険だ。いかなる融資の背後にも貸し手がいる。従って、法的にも、技術的にも、財政的にも、まったく良い考えではなく、ユーロ圏のどの加盟国でどれほど支持を集めようとも、多大な時間の無駄だ。
<デジタルユーロについて>
このデジタルユーロが重要である理由は複数ある。一つは、民間セクターの主体を含めデジタル決済の世界に移行する中で、中央銀行の通貨もデジタルの形態を持つことが重要だと考えるからだ。二つ目は主権に関わる。主権的な自律性というより、われわれの通貨を管理し続け、デジタル決済が循環する基盤を管理し続ける能力に関わる。決済インフラはわれわれの主権の一部だからだ。そして自らの決済インフラを管理できない者は、潜在的にぜい弱だ。
<成長は改善している>
これまでの予測では、成長は現在目にしている水準や予測している水準より低くなると想定していた。このため、0.8%から0.9%に引き上げた。締め切り日以降に公表された数値を加味すれば、実際には0.9%を上回る。第2・四半期が0.6%となり、予想を上振れたためだ。ある意味でポジティブサプライズだった。成長が想定より強く、経済がより良く調整しているからだ。
<債券利回り上昇について>
これはユーロに固有の問題ではない。世界中で起きており、複数の要因によるものだ。これはわれわれの予測に組み込まれ、考慮されている。当然、われわれは市場で起きていること、特に利回り曲線の長期部分を注意深く監視している。
<予想外に底堅い経済>
われわれは域内経済の底堅さに驚かされた。これまでの予測では、成長は現在目にしている水準や予測している水準より低くなると想定していた。
<本日の決定は「迷う余地のない判断」>
本日下した決定は、迷う余地のないものだった。これは全会一致の決定だった。
今後われわれが何をすべきかは、会議の都度決定されることになる。これは金融政策声明にも明記されている通り、われわれは目標を達成する決意を固めている。
<物価の安定を確保する>
市場は市場としてやるべきことを行い、われわれはわれわれのやるべきことを行う。すなわち、物価の安定を確保することだ。ご存知の通り、これは中期的に2%という目標として定義している。私が「政策運営の枠組み」について語る際、指しているのはまさにこのことだ。そして、市場が自らの理解する道筋を決定する上で、これを有益だと捉えていると想定している。
本日行われた議論の全てが、本日の決定に焦点を当てていたことを保証できる。したがって、われわれは将来的な道筋について、現在も、また過去においても、一切議論していない。
次回の会合でどの方向に向かうかについては、現時点では見解を示していない。
<自身の進退について>
私自身について何か報告すべきことがあれば、あなた方が最初に知ることになる。そして、報告すべきことは何もない。
<ガス価格のリスク>
特にガス価格は、供給の一段の混乱や、貯蔵水準の低さ、あるいは異例の厳冬となった場合、上昇する可能性がある。
<貿易摩擦によるリスク>
貿易摩擦の再燃は、世界のサプライチェーンの一層の分断を招き、重要な原材料の供給を制限し、ユーロ圏経済における供給能力の制約を悪化させかねない。
<気候変動が食料価格を押し上げる可能性>
異常気象は、強まるエルニーニョ現象や、より広範に進行する気候・自然の危機によって増幅される可能性があり、食料価格を予想以上に押し上げかねない。
<インフレの上振れリスク>
インフレ見通しに対するリスクは上振れ方向にある。これは特に中東紛争と、ロシアによる不当なウクライナ侵攻を巡る展開によるものだ。エネルギーショックは一段と強まる可能性があり、他の物価や賃金への影響も現在の想定より大きくなる恐れがある。
<債券市場と貿易摩擦>
世界の金融市場心理の悪化や、世界の債券市場への波及は、信用状況を引き締め、それによって需要を押し下げかねない。主要国経済間の貿易摩擦が再燃すれば、サプライチェーンを一段と混乱させ、輸出を減少させ、消費と投資を弱める可能性もある。
<成長の下振れリスク>
成長見通しに対するリスクは下振れ方向にある。これは特に中東紛争と、ロシアによる不当なウクライナ侵攻を巡る展開によるものだ。エネルギー供給が再び混乱すれば、エネルギー価格が現在の想定より一段と、より長期にわたって上昇する恐れがある。これは実質所得、支出、投資の重しとなるだろう。
<総合インフレ率>
全体として、総合インフレ率は、より高い金利の効果に支えられ、2027年末に向けて目標付近に戻ると予想される。
<期待インフレ率について>
より短期の期待インフレ率は依然として高水準にある。だが、長期の期待インフレ率の大半の指標は2%前後にとどまっており、中期的にインフレ率を目標付近で安定させることを支えている。
<今後は賃金が小幅上昇>
ECBの賃金トラッカーは、2027年上期に妥結賃金の伸びが2.7%へと小幅に上昇することを示唆している。
<基調的インフレ>
基調的インフレの大半の指標は7月におおむね安定していた。賃金は現段階でエネルギーショックへの目立った反応を示していない。
<精製マージンと商品価格>
(エネルギーインフレの)上昇は、特に液体燃料の精製マージンからの強い寄与のほか、エネルギー商品価格の上昇を反映するとみられる。
<短期の成長見通し>
先行きを見ると、短期の成長見通しは前回のスタッフ予測時点から改善した。これは特に個人消費と公的支出の底堅さを反映している。
<底堅い経済>
経済は第2・四半期、エネルギーショックによる逆風にもかかわらず底堅さを示した。成長は国・部門を問わず幅広く見られた。こうした傾向は第3・四半期にも続いた可能性が高い。
<インフレ圧力>
中東紛争は引き続きインフレ圧力を生み出しており、インフレ率は長期間にわたって目標を大幅に上回る水準にとどまる見込みだ。
<経済見通しについて>
見通しは依然として極めて不透明で、インフレには上振れリスク、経済成長には下振れリスクがある。