Makiko Yamazaki

[東京 10日 ロイター] - 格付け会社フィッチ・レーティングスは高市早苗政権の財政運営を評価する上で、年末に固まる来年度予算案を注視している。アジア・ソブリン格付け担当シニアディレクター、ジェレミー・ズーク氏は10日、ロイターとのインタビューで、「『責任ある』の側面と『積極』の側面が、最終的な予算案の中でどのようなバランスになっているのかを確認する必要がある」と述べた。

8月末に締め切られた各省庁からの27年度予算概算要求の合計は、過去最大の143兆円に膨らんだ。当初予算と補正予算を一体的に捉える新たな予算編成手法を導入したほか、積極財政を背景とした国債費の増加も要求額を押し上げている。

ズーク氏は、特に基礎的財政収支(プライマリーバランス)に注目。「基礎的財政収支について確かな評価ができれば、日本の財政政策がどの方向に向かっているのかが見えてくる」と語った。

基礎的財政収支は国債の元利払い費を除いた財政収支で、税収などの歳入によって政策経費をどの程度賄えているかを示す重要な指標。一方、高市政権は財政健全化の目標として、債務残高の対国内総生産(GDP)比を安定的に引き下げることを掲げている。

フィッチは日本の債務残高対GDP比について、今後5年間は低下が続くと予想。財政政策が拡張的になる中でも、名目成長率の上昇や税収増加が寄与するとみている。その後はおおむね横ばいで推移すると予想している。

ただ、その見通しは高市政権が掲げるAI(人工知能)や造船など17分野への投資計画の成否に左右される可能性があるとする。ズーク氏は「成長戦略が期待通りの成果を上げられるかが重要になる」と指摘。「投資資金の配分先を民間部門が主導して決定できる環境を確保することが、政策の成功につながる可能性が高い」と述べた。

フィッチは高市政権の投資計画を精査している段階で、17の重点投資分野について対象をさらに絞り込む余地があるかどうかを検証しているという。

フィッチは今年1月、日本国債の格付けを「A」、見通しを「安定的」のまま据え置いた。日本の格付けは最上位の「AAA」から5段階下に位置し、S&Pグローバル・レーティングの「Aプラス」、ムーディーズの「A1」をそれぞれ1ノッチ下回る。

ズーク氏は格付けの見通しについて、「上方・下方のいずれかに偏った見方はしていない。リスクはおおむね均衡している」と述べた。

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