映画の公開前や公開中に一気に増えるもの
──ディズニープラスは、映画との相乗効果が非常に大きいのですね。
昔だと、「仕事に追われているうちに、見たいと思っていた作品の上映が終わっていた」ということもありましたよね。けれど、公開直前に過去の作品を予習すると、「忘れずに見にいかなければ」という思いが強くなるのだそうです。そうした話を聞くと、映画と配信は良い形で響き合っているのだなと感じます。
もちろんグッズとの相乗効果も大きく、映画の公開前や公開中、そして公開後には、関連するグッズの売り上げが大きく伸びます。
──お話を伺っていると、1950年代にウォルト・ディズニーが描いた「シナジーマップ(戦略図)」が、時代にあわせて進化を続けているように感じます。
おっしゃるとおりです。社内では「シナジーサークル」と呼んでいるのですが、ディズニーには映画や配信、テーマパーク、グッズ販売などを相互に連携させて、持続的な相乗効果を生み出す独自のエコシステムがあり、この仕組みが非常によく機能しています。一つのIP(知的財産)を多重展開することで、持続的なファンエンゲージメントと収益を生み出すエコシステムは、世界でも唯一無二。ウォルト・ディズニーの時代には、当然ながら配信もゲームもありませんでしたが、かつて戦略図に示された仕組みは、現在にもそのままつながっています。
余談ですが、映画の公開前や公開中には、関連する楽曲をカラオケで歌う人も一気に増えるんですよ。
──『アナと雪の女王』がヒットしたときは、カラオケ店で主題歌を歌っている方を大勢見かけました。では、映画や配信、グッズ、テーマパークなどを横断して楽しめることは、ファンにどのような価値をもたらすとお考えですか。
私たちが提供しているのは、物語と一体化するための「体験」です。映画を見にいくのも体験ですし、グッズを買ってバッグにつけること、眺めることも体験です。また、カラオケで歌うことも、テーマパークで遊ぶことも体験です。
もし、体験できるのが映画だけであれば、「良い映画ですね」という感想で終わるかもしれません。しかし、映画で感動した後にキャラクターのグッズを購入し、ディズニープラスで名場面を深掘りし、アトラクションで世界観を体感すれば、好きな物語に途切れなく浸り続けられます。そうした包括的な体験は、ファンの方にとって大きな価値といえるのではないでしょうか。
また、そこで生まれる体験の循環は、ディズニーとファンとの絆を強くする役割も果たしています。