悪性脳腫瘍の中で最も多く、致死率も最も高い膠芽腫(こうがしゅ、グリオブラストーマ)について、新たな治療法につながりそうな実験的手法の効果が確認された。

バージニア大学総合癌センターの研究チームが医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションに発表した研究結果によれば、この手法で長年にわたって脳腫瘍の治療を阻んできた大きな障害のいくつかを克服できる可能性がある。

研究チームが着目したのは「マイクロRNA(miRNA)」と呼ばれる微小な遺伝物質だ。膠芽腫は複数の遺伝子の異常が腫瘍の発生や増殖に関わっている。そこで、複数の遺伝子を同時に標的にできるマイクロRNAを選び、脳内の腫瘍まで届ける手法を開発した。

動物モデルの実験では腫瘍の増殖を抑え、生存期間を延ばすことに成功した。「膠芽腫幹細胞から作った腫瘍では、動物の生存期間は治療を受けなかった対照群の約2倍だった」と、論文の共同著者でバージニア大学医学大学院教授のロジャー・アブナダーは本誌に語る。

全米脳腫瘍学会によるとアメリカでは現在130万人以上が、脳以外から転移したものではない原発性脳腫瘍を抱えている。なかでも悪性度が最も高い膠芽腫は悪性脳腫瘍の52.2%を占め、毎年1万3000人以上が死亡している。

脳腫瘍の治療で大きな障害にな「血液脳関門(BBB)」
【関連記事】