Enas Alashray
[カイロ/ワシントン 9日 ロイター] - イランのイスラム革命防衛隊は9日、米軍が使用するヨルダンの基地に弾道ミサイルを発射したほか、ペルシャ湾で船舶10隻を攻撃したと発表した。米国によるイランのタンカーへの攻撃に対する報復としている。ドバイ沖でタンカーの乗組員少なくとも1人が死亡したと伝えられ、別の1人が行方不明となっている。
これを受けて原油価格が急騰し、指標となる北海ブレント先物は1バレル=100ドルを突破した。7月以来の高値となる。
8月末以降の軍事・海運・エネルギー関連施設を狙った攻撃の応酬により、約1カ月続いた小康状態が崩れた格好となった。
革命防衛隊は、さらなる攻撃があれば対応を大幅に強化すると表明。敵がイランの標的2─3カ所を攻撃すれば、イランは20カ所を攻撃して応じるとした。また、イランの海岸線でパキスタンに近い遠方のチャバハル沖のアラビア海にまで及ぶ、新たなより広い立ち入り禁止海域の地図を近く公開するとしている。
さらにここ数日は、イエメンでサウジアラビアとフーシ派の戦闘も激化。中東からのエネルギー供給が一段と脅かされている。
<米、イランのタンカーが炎上する映像を公開>
米中央軍は8日、イランの原油タンカー5隻を破壊したと発表し、沈没する前に炎上する船舶の映像を公開した。革命防衛隊が過去2日間に2度にわたり米海軍艦艇に弾道ミサイルを発射したことへの対応だと説明した。米国の要員に被害はなかったという。
米政府は、艦艇を脅かす攻撃への報復としてイランのタンカーを攻撃する新方針を発表している。イランは、米艦艇の攻撃により高性能の新型ミサイルを使っているとしている。
ルビオ米国務長官は訪問先のコロンビアで記者団に対し「イランは米海軍艦艇への攻撃を続けている。攻撃するたびに、あるいは攻撃を試みるたびに、イランはタンカーを失うことになる」と述べた。
用船会社ペニンシュラによると、ドバイ沖に停泊していた石油製品タンカー「ヘラクレス・スター」で船員1人が死亡し、別の乗組員1人が行方不明となっている。海上警備筋によると、無人機による攻撃だった可能性がある。
英海事貿易機関(UKMTO)は、付近で船体が傾いている船舶があり、飛翔体の攻撃を受けて浸水している可能性があると説明した。ロイターは、これが同じ船を指すかどうかは直ちに確認できなかった。
さらにイラクの港湾当局者は9日、約200万バレルの燃料油を積んだパナマ船籍のタンカー「ニューアンドロス」が、イラク領海内でドローン攻撃を受けたと明らかにした。
UKMTOは、ホルムズ海峡の両側に当たるペルシャ湾北部とオマーン湾で、複数の商船が航行不能に陥る攻撃を受けたとの報告を受けたとしている。死傷者や環境への影響は直ちには確認できていないという。
イランは国営メディアが伝えた声明で、クウェートとバーレーンの港に停泊しているタンカーへの攻撃も警告した。海上警備筋によると、UAEのホールファカン港では液化天然ガス(LNG)タンカーが損傷した。
イランはその後、 ヨルダンのアズラク近郊にある米軍使用の基地に弾道ミサイル攻撃を実施した。革命防衛隊が国営メディアを通じて発表した。
イランはこの攻撃で大きな損害を与えたとしているが、ヨルダンは防空部隊がミサイル20発のうち18発を迎撃し、残る2発も無人地帯に落下したとして、死傷者はいなかったと説明した。米当局者は、イランのヨルダンへの攻撃は効果がなく、米兵は全員無事だと述べた。
革命防衛隊はペルシャ湾で米船舶2隻と石油タンカー8隻を攻撃したとも発表した。ホルムズ海峡の「立ち入り禁止かつ危険な」海域を横断しようとした10隻の船舶を攻撃したとしている。