Helen Reid Yantoultra Ngui Selena Li

[ロンドン/香港 4日 ロイター] - 香港上場を果たした中国発のファストファッションのネット‌通販大手SHEIN(シーイン)は、一過性の流行企業にとどまらないことを投資家に証明しようと買収に動いている。

同社は目論見書で、米ブランドのエバーレーンを8000万ドルで買収する計画を確認。150億ドルの現金に加え、新規株式公開(IPO)で調達した17億4000万ドルを武器に、今後は主に買収を通じて売り上げの伸びを回復する準備を整えている。

エバーレーンの買収計画は、自社ブランドだけでなく買収したブランドを扱うプラットフォームになるための一歩。状況に詳しい関係者によると、今回は買収戦略の「予行演習」にすぎず、今後とも幅広い顧客層を取り込むためにさまざまな価格帯のブランドの買収を進める構えだ。

<上場以来、株価は下落>

シーインのこれまでを振り返れば、今後も障害が待ち構えている可能性がある。

1日に実施した香港市場でのIPOは、ニューヨークやロンドンで何年にもわたって上場を試み、規制上の障害に阻まれた末の上場だった。

シーインの株価は4日、公開価格を20%超も下回る38.14香港ドル(4.86米ドル)で取引を終えた。

市場調査会社グローバルデータのアパレル主任アナリスト、ルイーズ・ドゥグリスファーブル氏は、ブランド・プラットフォーム事業への移行の成功はまだ株価に織り込まれていないと指摘。「意味のあるブランド群」の構築には数年を要する一方で、トランプ米大統領による小口輸入品への免税措置「デミニミス・ルール」撤廃の決定により、シーインの売上高は今まさに打撃を受けていると述べた。シーインの増収率は、2025年の年間8%から、26年第1・四半期には1.1%へと減速した。

シーインはロイターの取材に対し、自社の「エクセラレーター」プログラムにより多くのブランドを呼び込むことを優先課題の一つに挙げた。これは製造ネットワーク、倉庫保管、物流、およびグローバル販売プラットフォームへのアクセス権を販売する仕組みだ。

<イメージ上の課題>

シーインの拡大戦略における障害の一つは、そのイメージだ。5月にエバーレーン買収のニュースが報じられると、同社の高品質で持続可能な定番商品を支持してきた顧客層から、交流サイト(SNS)上で激しい反発が巻き起こった。

エバーレーンは「急進的な透明性」や「クリーンなラグジュアリー」を看板に掲げ、主にオーガニックコットンなどの素材を使用し、商品が製造された工場の詳細を公表している企業だ。

これに対し、シーインの服の大半はポリエステル製で、ウェブサイトには工場どころか、どの国で製造されたのかさえ明記されていない。

エバーレーンのアルフレッド・チャン最高経営責任者(CEO)は従業員向けの書簡で、同社が独立性を保ち、サステナビリティへの取り組みに忠実であり続けると伝えた。買収により競争上の優位性が高まり、世界中のより多くの顧客にアプローチできるようになるとも付け加えた。ロイターが書簡を確認した。

<サプライチェーンの効率性が売り>

経営不振のブランドに対するシーインの売りは、商品の需要が高まった時に工場に通知して増産を促す独自のサプライチェーン・ソフトウエアだ。反対に、需要が低い時には生産中止の指示を出すことで、非常に低い在庫水準を維持できるという。

目論見書によると、シーインの「エクセラレーター」プログラムに参加しているブランドの一つは、2年目に売上高を約15倍に伸ばし、営業利益率を30%ポイント以上改善させ、在庫回転日数を約3分の2削減した。

シーインのマーケットプレイスからの売上高は、自社製品ラインの売上高よりもはるかに速いペースで成長しているものの、規模はまだ極めて小さい。

シンガポールのコンサルティング会社モメンタム・ワークスのジアンガン・リーCEOは「買収はシーインに新たな成長エンジンを与え得るが、中核事業の収益改善の代わりにはならない」と指摘。「エバーレーンが一つ加わっただけで状況は変わらない。重要なのは、シーインがこれを再現可能なモデルだと証明できるかどうかだ」と述べた。

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