Agnieszka Olenska Helen Reid James Davey

[ワルシャワ/ロンドン 24日 ロイター] - 毎週金曜日にリラックスした服装で出勤するカジュアル・フライデーの試みでも定着してこなかった男性の「短パン通勤」が、今夏の記録的な暑さを受けて広がり始めている。

一足早く動きが出たのは東京だ。東京都はこれまでもネクタイ、ジャケット不要の「クールビズ」キャンペーンを打ち出していたが、今年はさらにもう一段階踏み込み、業務内容次第ではTシャツやスニーカーのほか、ハーフパンツの着用も解禁した。

熱波が猛威を振るう欧州各地でも、こうした動きが取り入れられている。当局や会社側が後押しする例もあれば、自発的な動きもあるようだ。

<通勤・休日スタイルが曖昧に>

大手小売業者によると英国内では昨今、リネン素材のショートパンツやスーツが飛ぶように売れている。地中海沿岸のビーチにも似合いそうな、通気性の高い素材が選ばれるようになっているという。

「『通勤用』と『休日向け』の衣服の線引きが曖昧になりつつある」と、英百貨店ジョン・ルイスの紳士服バイヤー、マーサ・ヒバード氏は言う。

英小売大手マークス・アンド・スペンサーによると、リネンを使った紳士用パンツの売り上げは今年6ー7月、前年同期比で183%増加した。

スウェーデンのファストファッション大手H&Mは、より軽やかな素材の商品を投入すると共に、秋物の発売を例年より遅らせると表明している。「気候変動の流れは後戻りしないようだ」と、H&Mのメンズウエア・デザイン責任者アンドレアス・ローベンスタム氏は話す。

ドイツのファッションブランド、ヒューゴ・ボスは、かっちりとしたデザインのショートパンツの品ぞろえを拡充。元イングランド代表主将として活躍したサッカー界のスター、デービッド・ベッカム氏とコラボした「ボス・バイ・ベッカム」シリーズでは、コットン素材のテーラードショートパンツを1着229ユーロ(約4万円)で売り出している。

<「短パンは週末」>

英ロンドン東部の金融街カナリーワーフから、欧州中央銀行(ECB)本部のある独フランクフルトに至るまで、このトレンドは欧州各地のオフィス街に広がっている。ただし、限度はある。

ノルウェー大手DNB銀行の広報担当者は行員のショートパンツやスカートの着用を認めているとしつつ、「バレエスカートのような薄手の素材や、70年代に流行したサッカーパンツのように非常に短い丈でも良い、という話ではない。ある程度の長さがあり、職場にふさわしい服装ではあるべきだ」と語った。

保険大手スイス・リーのスイス部門責任者ジャンフランコ・ロット氏は6月、従業員向けに暑さ対策を呼びかけるメールを送付。その中では、こまめに水分補給をすること、適宜休憩を取ること、オフィスの真向かいにあるチューリヒ湖でひと泳ぎしてクールダウンすることなどが推奨された一方で、「短パンは週末に着ること」とくぎを刺すメッセージも記されていた。

伝統的な服装規定に反発し、軽装化を求める声も上がっている。

ドイツ最大の労組IGメタルとサービス業労組ベルディはロイターに対し、気温が高い時期には必要に応じて服装規定を緩和するか、あるいは撤廃すべきだとの考えを示した。

IGメタルの労働衛生専門家、モーリッツ・ティーデマン氏は「年々暑さが増し、熱波の頻度も増える中、労働者の負担が重くなっているのは明らかだ」と述べた。

既に、自ら行動を起こした労働者もいる。

ポーランドでは今月、首都ワルシャワ交通当局ZTMのバス運転手が、ポリエステル製の長ズボンに耐えかねて、抗議のためにスカート姿で出勤した。ファーストネームだけを明かして取材に応じた男性運転手のダレクさんは「制服の素材では汗だくになり、体が火照るばかりだ」と訴えた。

猛暑時に運転手がショートパンツを着用できるよう求めて同僚の1人が始めた請願書には、最新の集計時点で400人を超える署名が集まったという。

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