Aditi Shah Arpan Chaturvedi Sarita Chaganti Singh
[ニューデリー 5日 ロイター] - インドの業界団体のインド自動車工業会は4日、燃費性能の大幅な低下や車両損傷の原因になるとの批判が高まっている20%エタノール混合燃料(E20)に関し、含まれている塩化物と水分が高く、自動車のトラブルを引き起こしているとの書簡を石油省に送った。工業会はこれまでE20を安全に使用できるなどと主張してきたが、従来の見解を撤回した。
自動車メーカーのマルチ・スズキやタタ・モーターズ、トヨタ自動車、メルセデス・ベンツなどが加盟する自動車工業会は書簡で「会員各社は、顧客車両の部品交換を巡る問題の大幅増加を確認している。調査の結果(中略)この問題は、使用された燃料に起因する高濃度の塩化物による腐食や摩耗が原因であることが判明した」と紹介。その上で「特にE20の導入以降に」燃料やエンジンの排ガスと直接接触する自動車部品が最も大きな被害を受けていると説明した。
併せて、燃料中の水分含有量が高過ぎる場合には給油直後に車両が動かなくなる恐れがあるとし、より厳格な品質検査を求めた。
石油省は4日に交流サイト(SNS)で、燃料の品質は石油販売会社によって定期的に監視されており、2000件の検査サンプルのうち塩化物による汚染が確認されたのは2件だけだったと書き込んでいた。
自動車工業会と石油省はコメント要請に直ちには回答しなかった。
これに対してSNSには反発する自動車所有者らの声があふれ、ナチケット・デシュパンデさんは短文投稿サイト「X」で「科学的知見が一夜にして変わったのか、それとも省から連絡があったのか」と問いかけた。
一方、政府高官は5日、ロイターに対してE20に対する「誤情報キャンペーン」が起きていると批判。主にSNS上で展開されているものであり、実際に走行中の車両で問題が起きているとの実証的な証拠はないと反論した。
インドは元々、2030年までにE20に切り換える方針だった。しかし、モディ政権は石油輸入量を減らすため、前倒しで25年に10%エタノール混合燃料(E10)をE20に置き換えた。
ところが、23年に導入が始まったばかりのE20を使ったことで燃費性能の低下や、自動車故障が起きたとして消費者の間で大きな混乱が生じた。特にE20を使用できない自動車の所有者からは、エタノール混合率が低い燃料の選択肢を求める声が多く出ている。