Adriana Barrera Ana Isabel Martinez
[メキシコ市 5日 ロイター] - メキシコのシェインバウム大統領は、国内天然ガス増産に向けて北部コアウイラ州とタマウリパス州で水圧破砕法(フラッキング)の試験実施を検討している。協議に詳しい4人の関係者への取材で分かった。
メキシコでは既に少量の原油と天然ガスをフラッキングによって生産しているが、政府と国営石油会社ペメックスは、米国産ガスへの依存度を下げるためより大規模な導入を模索している。
フラッキングは水、砂、化学物質を高圧で地下に注入し、岩盤を破砕して石油や天然ガスを採取する技術。地下水汚染やメタン排出、地震誘発の懸念に加え、再生可能エネルギーへの移行を遅らせるとの批判もある。
かつてフラッキングに反対していたシェインバウム氏は最近、環境負荷や水使用量を抑えた新技術が存在する点に言及し、従来とは異なる姿勢を示している。
関係者3人の話では、シェインバウム氏は数週間前に地質、水資源、工学、環境分野の専門家で構成された検討委員会から報告を受けた。委員会は政府が「最善の判断」を下せるよう助言する目的で設置されたという。
うち1人は、試験事業が承認されればペメックスが早ければ9月にも最初の事業に着手する可能性があると明かした。
メキシコ大統領府とペメックスは、ロイターのコメント要請に応じていない。
ペメックスの現在の生産量は、天然ガスが日量48億6900万立方フィート、原油・コンデンセート(超軽質原油)が日量165万8000バレル。
従来型油ガス田の埋蔵量が減少している点から、関係者の1人は、生産拡大を目指すのであればフラッキング以外に選択肢はないとの見方を示した。別の関係者は、米国産ガスへの依存を「憂慮すべき水準」と表現した。
ペメックスのデータによると、同社はコアウイラ州、タマウリパス州、ベラクルス州にまたがるサビナス・ブーロ・ピカチョス盆地、ブルゴス盆地、タンピコ・ミサントラ盆地で計25本の試掘井を掘削。またチコンテペク事業ではフラッキングを活用している。
同社は昨年公表した2035年までの戦略で非在来型油田・ガス田の生産開始を提案し、これが26-28年は限定的な寄与にとどまる一方、29年以降は大幅な生産増につながると見込んでいる。計画では、30年までの累計生産量を原油1億9700万バレル、天然ガス3030億立方フィートと予測。資源ポテンシャルは石油換算で640億バレルとしている。
ただ、開発候補地にはそれぞれ課題がある。コアウイラ州は野党が州政を担い、タマウリパス州では組織犯罪に伴う治安リスクが存在する。さらに資源量が豊富なタンピコ・ミサントラ盆地の一部地域では水不足も懸念されている。