Stine Jacobsen Maggie Fick
[コペンハーゲン 5日 ロイター] - デンマークの製薬大手ノボノルディスクのマイク・ドゥスターマイク・ドゥスター最高経営責任者(CEO)は5日、前日発表した第2・四半期決算と業績見通しに関する会見で、研究開発を加速し新薬候補(パイプライン)を強化すると説明した。事業強化に向けた買収を模索する方針も示した。
第2・四半期の調整後営業利益は前年比11%増加しアナリスト予想の平均を上回ったが、肥満症治療薬「ウゴービ」経口版の売上高が予想を若干下回った。次世代肥満症治療薬「カグリセマ」の芳しくない試験結果も嫌気され、2026年通期業績見通しを上方修正したにもかかわらず、市場の反応は冷ややかだった。
CEO就任から1年が経過したドゥスター氏は、最近の臨床試験(治験)結果に触れ、「開発の遅れが生じたため、成功の確率を上げるための試行回数を増やす必要がある。われわれはより迅速に行動し、失敗から学んで再び自己改革しなければならない」と説明した。
肥満症治療薬市場は、30年までに年間1000億ドル以上の規模になるとアナリストは予想する。同市場はノボが主導していたが、米イーライリリーの追い上げを受けている。
コペンハーゲン市場に上場するノボ株は、3月に付けた安値から約30%回復したものの、24年に一時、欧州で首位となった時価総額はピーク時の3分の1未満となっている。
ドゥスター氏は、今年、米国、英国、アラブ首長国連邦(UAE)で発売したウゴービの経口薬について、イーライリリーの経口薬との競争にもかかわらず、経口肥満症治療薬市場の約90%を獲得したと説明。ドイツでも「間もなく」発売する計画だと明らかにした。
最高財務責任者(CFO)のカルステン・ムンク・クヌードセン氏は、見通しの上方修正は「GLP─1」受容体作動薬の販売増と米国外での成長が牽引したと述べた。一方、米国売上高は引き続き減少すると予想した。経口薬の価格設定については、競争や消費者の行動に左右されるものの、「適切な水準にある」とした。
<特許の崖が迫る中、強力なパイプラインが必要>
ウゴービと糖尿病治療薬「オゼンピック」の有効成分であるセマグルチドは、30年代初頭までに特許切れとなる。新たな肥満症治療薬を求められるが、後期治験で遅れが相次ぎ、研究開発(R&D)体制に厳しい目が向けられ、投資家から買収を求める声が出ている。
ノボ株を保有するデンマークの資産運用会社フォルムプライエのチーフポートフォリオマネジャー、モルテン・グレーゲルセン氏は「セマグルチドが特許切れを迎える際の圧力に耐えるために、彼らは強力なパイプラインを持つ必要がある」と指摘。「カグリセマで再び期待外れの結果が出た。これは恐らく、ノボにとって最大の戦略的課題を浮き彫りにしている」と述べた。
シドバンクは、カグリセマの治験結果が投資家の失望を招いていることを念頭に「ノボノルディスクのパイプラインとその堅牢性に注目が集まっている」と指摘。ノボの決算は投資家を安堵させるはずだったが、最新のデータと減損損失がセンチメントを悪化させたと述べた。
ドゥスター氏は、心血管疾患治療薬「ジルチベキマブ」の治験失敗や、肥満症および糖尿病治療薬カグリセマの最近の開発の遅れは、ノボに方針転換ではなく行動の加速を促しているとし、研究を加速させ、小規模な買収を追求し、肥満症と糖尿病以外の分野にも焦点を広げると述べた。
同氏がロイターのインタビューで、研究開発部門を2人ではなく1人の幹部の下に統合することがCEOとしての最初の取り組みの一つだったと述べた。これにより、意思決定と開発のスケジュールが加速したという。
未公開のプログラムが多いことから投資家が依然として懐疑的であることを認めた上で、9月の投資家向け説明会でより多くの初期段階のプロジェクトを明らかにすると述べた。