[ニューデリー/ダッカ 5日 ロイター] - バングラデシュのシェイク・ハシナ前首相(78)は5日、インド首都ニューデリーの南アジア外国特派員クラブ(FCCSA)が主催したメディア向けイベントで演説し、自身が率いた政党のアワミ連盟に対する活動禁止措置の解除を求めるとともに、12月に帰国する意向を改めて表明した。

ハシナ氏は「私は国民の下に戻る」と政敵であるバングラデシュ民族主義党(BNP)政権に対して明言。帰国後に収監されたり殺害されたりする可能性があっても帰国する考えは変わらないとし、「刑務所に入れられるかもしれないし、殺されるかもしれない。しかし、それでも帰らなければならない」と語った。

2024年の政変で失脚し国外へ退避したハシナ氏にとって、今回はそれ以降で初のメディア対応となった。当初は映像で参加するとみられていたが、実際には画面を映さず音声のみで発言した。映像を公開しなかった理由は明らかになっていない。

バングラデシュ外務省は5日のXへの投稿で、このイベントについて「バングラデシュの主権に対する侮辱だ。いかなる名目であれ、同氏に報道機関との公開の場を与えることは深く傷付ける行為だ。バングラデシュは憤っている」と強く反発した。

ハシナ氏は先月のロイターのインタビューでも、年内に帰国して当局に出頭する考えを示していた。

25年11月、学生らによる蜂起への武力弾圧を命じたとして戦争犯罪法廷から欠席裁判で死刑判決を受けたハシナ氏は一連の訴追や判決について「政治的動機による捏造(ねつぞう)だ」と否定している。

一方今年2月の総選挙後に発足したラーマン首相率いる政権は5日、ハシナ氏の発言を報道することは、同氏の演説や声明の公表・放送を禁じた24年の裁判所命令に違反するとして、国内メディアに掲載しないよう警告した。

このためイベントはバングラデシュ国内メディアでは報じられなかったが、交流サイト(SNS)を通じて視聴可能となり、多くの国民がリンクを共有し反応を投稿した。

ハシナ氏は自身の失脚後にバングラデシュ経済は大きく悪化したと主張。経済成長の鈍化や投資・雇用創出の低迷によって2000万人以上が失業し、自らの政権下で達成された経済発展が後退していると訴えた。

バングラデシュ政府はこれまでインド側に対してハシナ氏の引き渡しを繰り返し求めた。インド政府は要請を受け取っており、検討を進めているとしている。

ハシナ氏の失脚以降、両国関係は冷え込んでいるが、最近は関係改善への意欲を双方が示し始めた。バングラデシュ外務省は、ハシナ氏に公の場でメディア対応を認めることは、バングラデシュとインドの二国間関係の発展にとって「有害だ」と指摘した。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。