Tom Polansek Anuja Bharat Mistry
[29日 ロイター] - 米国の消費者が一部の外食チェーンを避け、食品店ではレタスの購入を減らしていることが、来店客データや業界関係者の話で明らかになった。複数州にまたがる寄生虫感染症の集団発生を受けて「何を食べれば安全なのか」が分からないとの不安が広がっていることが背景にある。
米食品医薬品局(FDA)は、激しい下痢や腹痛を伴うこのサイクロスポラ症の集団発生について、米ヤム・ブランズ傘下のレストランチェーン、タコベルで提供されたアイスバーグレタスとの関連を指摘している。このレタスは、非上場企業テイラー・ファームズがメキシコ中部の事業拠点から調達していたものだった。
しかしテイラー・ファームズが「影響を受けた可能性のある製品はすべて市場から回収した」と発表した後も、感染者数は増え続けている。そのため感染源となっている食品は他にもあるのではないかと人々が疑心暗鬼に陥っている。
保健当局は、現在も追加の感染源について調査中。南部ノースカロライナ州では、発症者の多くが摂取していた食材としてパセリやパクチー(シラントロ)が挙げられているが、州保健当局によれば、感染経路は複数存在する可能性があるという。
消費者の間では明確な情報が出てくるまで生鮮レタスの購入を控える動きが広がり、レタスを主力食材として扱う外食チェーンへの来店も減少している。
公衆衛生団体「ウェルネス・エクイティー・アライアンス」の最高経営責任者(CEO)で、元ニューヨーク市主席医療責任者のタイラー・エバンス医師は「健康な成人であれば葉物野菜を食べ続けても問題ない。ただし、感染が深刻化している中西部ミシガン州のような地域では注意が必要だ」と述べた。
さらに「もしこれがキャンディーやリコリス(甘草風味の菓子)の回収問題であれば、『食べないで』と言うだろう。しかし葉物野菜には重要な栄養価がある以上、何が何でも避けるべきだとは言いたくない」と語った。
<タコベルやパネラで来店客数が減少>
タコベルでは13日以降、来店客数の減少が続いている。分析会社プレイサー.aiによると、23日の来店客数は1月1日から7月6日までの木曜日平均を20.8%下回った。
23日の来店客数はサラダチェーンのチョップトで12.2%減、チポトレ・メキシカン・グリルで1.4%減、パネラ・ブレッドで3.1%減となり、いずれも過去6カ月間の木曜日平均より少ない。
チポトレは来店客減少についてコメントを拒否。一方、タコベル、チョップト、パネラ・ブレッドからは取材時点で回答がなかった。
タコベルは、17日の時点で、問題となったテイラー・ファームズのレタスを全店舗から撤去したと説明している。
プレイサー.aiの担当者は「ここ数週間のサイクロスポラ症流行後、大きく来店客数を減らしたレストランチェーンでは、依然として客足が鈍っている」と説明。ただ「最悪の局面はすでに過ぎた可能性がある」との見方も示した。
米疾病対策センター(CDC)によると、今回の流行において検査で確認された感染者は6707人に達し、1万1500人を超える感染疑い例も把握されている。
ミシガン州では保健当局が28日に9680件の感染例を報告しており、前日から427件増加した。
前FDA長官のスコット・ゴットリーブ氏は27日、一部の大手小売業者やレストランが、感染拡大との関連が指摘されているメキシコ中部地域からの農産物調達を停止したと述べた。
<レタス販売も低迷>
米東部でレタスを生産するリトル・リーフ・ファームズの創業者兼CEO、ポール・セロー氏は、感染への不安によって販売が2桁台で減少していると明らかにした。
市場調査会社ニールセンIQによると、18日までの1週間における米国内の生鮮レタス販売数量は、前週比で9%減、2週間前と比べると19%減少した。
セロー氏は「小売市場では、生鮮農産物カテゴリー全体の売り上げが落ち込んでいる。消費者は恐怖心によって行動している」と語った。
マサチューセッツ州に本拠を置くリトル・リーフ・ファームズでは、顧客の不安を和らげるため、自社の安全対策について積極的な情報発信を行っている。
同社のレタスは温室内で栽培され、使用する水は飲用可能な水、もしくは屋根で集めた雨水だ。さらに施設内に取り込まれる全ての水は紫外線による消毒処理を受ける。また自動化された栽培システムにより、人の手がレタスに触れることはないという。
セロー氏は「われわれの栽培方法は根本的に異なるため、今回のような問題が当社製品に影響することはない」と明言した上で「葉物野菜が全て同じではない」と強調した。