Ann Saphir Michael S. Derby

[ワシントン/ニューヨーク 29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は28─29日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を3.50─3.75%に据え置くと決定した。据え置きは5会合連続。12人の委員のうち3人が0.25%ポイントの利上げを主張し、金利据え置きに反対票を投じた。

反対票を投じたのはクリーブランド地区連銀のハマック総裁、ダラス地区連銀のローガン総裁、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁。この3人はパウエル前議長にとって最後の会合となった4月28─29日のFOMCで将来的な利下げを示唆する文言の削除を求め、金利据え置きに反対票を投じていた。FRBは昨年12月以来、政策金利を現行水準に据え置いている。

FRBはFOMC声明で「インフレ率は委員会が目標とする2%に比べて依然、高い水準にある」と指摘。「中東の紛争を一因とする不確実性の高まりにもかかわらず、経済活動は堅調なペースで拡大している。生産性の伸びと設備投資は力強い。雇用の伸びは労働人口の増加に追い付いており、失業率はあまり変化していない」とし、6月16─17日の前回FOMC声明の文言を踏襲した。

<FRB議長「2%物価目標堅持」>

ウォーシュFRB議長はFOMC後の記者会見で「われわれは新たな局面に入った」とし、「インフレ率が目標を上回る状態が5年以上続いているが、こうした状況が(自身がFRB議長に就任してからの)9週間という期間に、物価上昇のやや鈍化が示された単月の経済指標だけで解消することはないと理解している」と述べた。

その上で「FRBはインフレ率を2%目標へ戻す取り組みを緩めることはない」と強調。今後の金融政策運営については明言を避けたものの、「FOMCの決定は極めて重要な意味を持つと強調したい。必要、かつ適切と判断されれば、行動をためらうことはない」と語った。

また、インフレが高止まりする中でも政策金利の据え置きを決定したが、FRBにとって2%を上回る「事実上の」インフレ目標は存在しないと指摘。「一部の家計や企業、市場関係者の間では、5年にわたる高インフレによって、FRBの暗黙のインフレ目標が2%を上回っているとの誤った認識が根付いてしまっている」とし、「改めて強調するが、事実上のインフレ目標などは存在しない。目標は1つしか存在せず、その目標は2%だ」と述べた。

ウォーシュ氏はこのほか、6月の前回FOMC以降に米国債利回りが大きく上昇し、市場で利上げの可能性が織り込まれていたことが示されていたと指摘。こうした動きを歓迎する一方で、市場参加者は「(FOMC参加者の政策金利見通しである)ドットチャートや、FRB当局者の発言に反応するのではなく、自らの判断に基づいて行動していた」とし、FRBが市場の動きを実際の政策変更で追認する必要があることを意味するわけではないとの考えを示した。

今回のFOMCで反対票が投じられたことについては「健全な政策決定プロセスの表れ」と指摘。「活発な議論を望んでいたが、その通りになった」とし、結果的には最終的に下した決定に対し「大多数の支持があった」と語った。ウォーシュ議長の下での初めての会合となった前回6月16─17日のFOMCでは、全会一致で金利据え置きが決定された。

将来の金融政策の方針を前もって表明する「フォワードガイダンス」については、2008─09年の金融危機時のような局面では危機に対応するための有効な手段になるとしながらも、平時の安定した環境下ではその在り方の見直しを検討する価値があると指摘。ただ、市場関係者や報道機関はフォワードガイダンスに大きく注目しているため、「ガイダンスの縮小には移行期間が必要になるという点を重く受け止めている」と語った。

FOMC後の議長会見については、「少なくとも年内は、前任者の下で決められた通り、FOMC後の記者会見を継続する」と述べた。

<決定9対3で「タカ派色強まった」との見方も>

調査会社インフレーション・インサイツの創業者兼社長、オマイル・シャリフ氏は「現時点では、9月15─16日の次回FOMCで0.25%ポイントの利上げが決定されると予想している」と指摘。9月の会合前に発表される7月と8月の経済指標で、雇用情勢の急激な悪化が示されたり、コアインフレ率が前年比で2%近辺まで低下したりすることはないとの見方を示した。

ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボスジャンシッチ氏は、今回の決定が9対3だったことについて「政策当局者の間でタカ派色が強まっていることが浮き彫りになった」と指摘。同時に「中東情勢によるエネルギー供給ショックのほか、物価上昇の一因となっている人工知能(AI)関連の設備投資を巡る問題はFRBによる利上げでは解決できない」とし、「FRBは年内は政策金利を据え置くことが可能で、据え置くべきだと考えている」と述べた。

CMEフェドウオッチによると、現在市場で織り込まれている9月会合での利上げ確率は約57%。今回のFOMC前のほぼ100%から低下した。FRB当局者は9月会合までに発表される雇用と物価に関する7月と8月の経済指標を精査し、6月の指標で示された物価上昇圧力の緩和が継続しているか確認すると見られる。

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