重要なのは上陸場所
政府データによると、ハリケーンシーズンには熱帯低気圧が平均14個発生し、うち7個がハリケーン、さらにそのうち3個が大型ハリケーンとなる。米保険仲介大手エーオンのデータでは、16-24年の年間保険損失額は平均約300億ドル(約5兆円)だった。
エルニーニョは通常2-7年ごとに発生するが、継続期間は9ー15カ月と幅があり、決まった暦上の区切りもない。このため、周期ごとの保険損失を直接比較することはできない。
保険データ会社ベリスクの熱帯低気圧モデリング担当上級科学者ジェフリー・ストロング氏によると、1950年以降、エルニーニョの周期では命名される規模の熱帯低気圧が平均およそ2個少なかったという。ただ、発生数だけでは実際のリスクは測れない。
その代表例が1992年のハリケーンシーズンだ。この年は91年に始まったエルニーニョの終盤にあたり、発生した暴風雨やハリケーンの数は平均の半分程度だった。しかし、その中には米国を襲った史上最強級のハリケーンの一つ「アンドルー」が含まれていた。
アンドルーはフロリダ州南部とルイジアナ州に上陸して甚大な被害をもたらした。スイス再保険研究所によると、もし今、同規模のハリケーンが発生すれば、保険業界の損失額は1000億ドル近くに達してもおかしくないという。
エルニーニョ現象が発生しなかった2020年は、30個の熱帯低気圧、14個のハリケーン、7個の大型ハリケーンが発生する記録的シーズンとなった。ただ、それらの多くが人口密集地を直撃しなかったため、保険損失額は約300億ドルにとどまった。
自然災害リスクモデル会社カレン・クラーク・アンド・カンパニーは今月の報告書で、フロリダ州のマイアミやタンパ、あるいはテキサス州ヒューストンのような人口が密集し、かつ資産価値の高い都市に今、大型ハリケーンが直撃した場合、保険損失額は1000億ドルを超える可能性があると試算した。
同社は「ハリケーンも不動産と同じで、最も重要なのは『立地、立地、とにかく立地』だ」と表現している。