世界へ拡大するウクライナ戦争

今回の攻撃が注目される理由の1つは、世界の紛争の性質が変化していることを示しているためだ。

ロシアによるウクライナ侵攻として始まった戦争は、イラン、中東の安全保障、海上物流ルート、大国間競争など多くの要素を巻き込んでいる。カスピ海はまさに、そうした複数の問題が交差する場所だ。

イランはウクライナによる攻撃を直ちに外交上の最優先課題と位置付け、アラグチ外相は欧州連合(EU)のカヤ・カラス外交安全保障上級代表やロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と協議した。

イランのアナリストの間では、カスピ海がウクライナ戦争と中東情勢に関連する新たな対立の舞台になる可能性について議論が起きている。

ドイツ国際安全保障問題研究所(SWP)の客員研究員ハミドレザ・アジジはXへの投稿で、イランの専門家の間では攻撃の背景について異なる見方が示されているものの、南側の海上輸送ルートだけでなくカスピ海にも及び始めていることへの懸念は共通していると指摘した。

アジジはまた、イランで広がる懸念の1つとして、イランとアメリカの対立、サウジアラビアと親イラン武装勢力フーシ派の対立、ロシアによるウクライナ侵攻が相互に結び付きつつあることを挙げた。

「日を追うごとに、ウクライナ戦争はますます複雑で、多面的かつ国際的な紛争へと変化している」とアジジは記した。

イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官は28日の定例記者会見で、この攻撃を「完全に違法で正当化できない行為」と非難した。そのうえで、ウクライナの行動は「予測不可能」な結果を招きかねないと警告し、キーウは今回の攻撃について「必ず責任を問われなければならない」と述べた。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 日本の高齢者施設ランキング
2026年8月4日号(7月28日発売)は「日本の高齢者施設ランキング」特集。

民間介護施設250/療養型病院200/リハビリテーション病院300――世界視点で評価された日本の施設を一挙紹介。[PLUS]和田秀樹:失敗しない施設選び/いとうまい子:介護と健康寿命と研究と

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます