最新の人工知能(AI)ツールにより、症状が現れる最大で15年以上も前から、深刻な心臓病や循環器疾患の発症リスクを特定できる可能性が出てきた。

研究を率いた香港大学の張清鵬教授は「遺伝子は健康リスクの初期値を決める『スタート地点』に過ぎない。一方、タンパク質や代謝産物は現在の身体状態をリアルタイムで反映している」と述べる。「今回開発したAIツールは、この複雑な生体シグナルを読み解くものだ。リスクを早期に把握できれば、生活習慣の改善や予防によって、病気の進行の流れを大きく変えることができる」

「カーディオミクスコア」と呼ばれるこのツールは、1回の採血から、冠動脈疾患、脳卒中、心不全、心房細動、末梢動脈疾患、静脈血栓塞栓症という6つの主要な心血管疾患について、将来の発症リスクを推定する。

リスクが高いと判定された人では、発症の15年も前から予兆が検出されたという。

心血管疾患は依然として世界最大の死因であり、2022年には推定1980万人もの命を奪った。従来、医師は年齢や血圧、喫煙歴などをもとにリスクを評価してきたが、診断が下りるはるか以前に体内で起きている微細な変化までは捉えきれない。その結果、予防の選択肢が限られる段階になるまで高リスクだと気づけないケースもある。

遺伝子検査(多くの遺伝変異の影響をまとめたポリジェニック・リスク・スコアなど)もリスク把握の手立てではある。しかし、DNAは生まれつき変わらないため、食事や運動、加齢、病気、環境といった要素でリスクがどう変動するかまでは捉えることができない。

カーディオミクスコアは、受け継いだ遺伝情報ではなく「いま体内で何が起きているか」を捉えることで、この課題をクリアした。

遺伝子スコアを超える精度
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