中国製チャットボットがワシントンを騒然とさせるのは、これが初めてではない。
7月17日に中国のAI企業、ムーンショットAI(月之暗面)が最新モデルである「Kimi K3」を公開。米企業のオープンAIとアンソロピックの最新モデルを除く、市場の全モデルを「一貫して上回る」性能を備えていると主張した。その2日後には中国の巨大IT企業アリババも、近く公開予定の「Qwen3.8」が同様の性能を持つとうたった。
昨年、安価で高性能な中国製AIのディープシークが話題を集めたのに続き2つの新モデルも大きな反響を呼んでいる。特にKimiへの関心は高く、ムーンショットは公開から48時間足らずで新規契約の受け付けを停止した。
商業的には大成功に見えるが、この事態は中国AI企業の深刻な計算資源(処理に必要な精密機器や基盤技術)不足の表れでもある。
問題は、中国が計算資源不足をどう乗り越えようとしているかだ。オープンAIとアンソロピックは、中国企業が米企業の高性能モデルを使って自社モデルを訓練したと非難する。高性能モデルの能力を利用しながら、必要な計算資源を大幅に抑える「蒸留」という手法である(AI業界では一般的な手法で、企業が自社モデルを基に、より単純で低価格のモデルを開発する際などに使われる)。
次のページ