米国との違い
ヨハネスブルクの工業地帯にある、南ア最大のデータセンター事業者テラコ・データ・エンバイロメンツの施設内は、まるで映画「チャーリーとチョコレート工場」のセットのような光景だ。光沢のある金属パイプや色とりどりのケーブルが張り巡らされ、サーバーラックが整然と並び、低い機械音が絶えず響いている。
テラコのサステナビリティー責任者を務めるブライス・アラン氏は、南アのデータセンターは世界の大型施設に比べて規模が小さく、AIモデルの学習を主目的としていないため、資源消費の大きい技術を必要としていないと説明する。
アラン氏は、米国のテキサス州やカリフォルニア州などで住民による反対運動が起きている状況とは大きく異なると指摘。「米国ではAIブームによってギガワット(GW)級の巨大プロジェクトが次々と発表され、蒸発冷却方式による膨大な水使用が問題になっている。AIが南アに進出すると聞くと、多くの人が米国の例をそのまま当てはめて考えてしまう」と語った。
蒸発冷却方式ではサーバーを冷やすために常に新しい水を供給する必要がある。ただテラコは水を循環利用する「閉ループ冷却システム」を採用している。
アラン氏の話では「30メガワット(MW)規模のデータセンターが閉ループ冷却システムを利用した場合、年間の水使用量は平均的なレストラン1店舗と同程度にとどまる」という。
また米国では数千のデータセンターが合計約17GWの電力容量を持つのに対し、南ア国内には50カ所以上のデータセンターが存在するものの、その総容量は350MWに過ぎず、世界全体の1%未満にとどまる。
アラン氏は、一部の事業者が将来的な設備能力を実際以上に大きく見せているとも批判。
「こうした『ブラガワット(誇張された電力容量)』は誤解を生む。実際には、データセンターが公表された能力の半分程度に達するまでにも何年もかかる」と明かした。
テラコは現在、南アフリカの送電網から電力供給を受け、非常用としてディーゼル発電機を所有。フリーステート州では120MWの太陽光発電所を建設中で、来年の稼働開始後は余剰電力を送電網にも供給する予定だ。
同社は来年末までに使用電力の70%を再生可能エネルギーで賄い、35年までに100%再生可能エネルギー化を目指している。