王女の擁立劇、今後の選挙戦に影響を与えるか
タクシン派政党の「タイ国家維持党」が同党の首相候補者として届け出たウボンラット王女を取り消すことを決めた背景には、国民に与えた衝撃の大きさとともに、国王が王女の首相候補届出当日に反対を表明した迅速さと、全国放送を通じての声明発表という異例の対応から「ワチラロンコン国王の怒り」が尋常ならざるものであることを同党関係者、さらに海外で「亡命生活」を送るタクシン元首相が真剣にとめたことがあるといえる。
この結果、タクシン元首相とともに海外生活を続ける妹のインラック前首相の帰国、政界復帰への道のりはさらに遠のいた、との見方が有力になっている。
それでも総選挙では北部、東北部の農村地帯、貧困層を中心にしたタクシン支持派の基盤は依然として強固であることには変わりはない。
このため親軍政政党「国民国家の力党」や中立政党「民主党」などが、厳しい選挙戦を戦わざるを得ない状況はこれまで通りだ。しかし対立政党側が「王女擁立」を取り下げたことで、タイでは許されない王族の人物批判を展開せずに済むようになったことには胸をなでおろしているのは確実だ。
タイ王族は憲法、関連各種法規、王室典範などでその法的地位が保障され、王族としての地位と立場への批判、反対、侮辱などは「不敬罪」の対象として訴追され、厳しい処罰を受けることになっているからだ。
とりあえず王女の首相候補擁立は急転直下の展開で収束した。しかしタクシン元首相側も軍政側も「まだ何があるかわからない」として、2月15日の選挙管理委員会による総選挙立候補者と各政党が届け出た首相候補の立候補者名の正式発表まで気を緩めずに事態の推移を見守りながら、水面下では選挙戦略の激しいぶつかり合いが展開しているという。

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