イランの前最高指導者アリ・ハメネイの6日間に及ぶ国葬が終わった。一連のイベントを通じて目立ったのは、ハメネイの息子であり、現最高指導者であるモジタバ・ハメネイの不在だ。

2月末にアメリカとイスラエルがハメネイの自宅を爆撃しハメネイを殺害したとき、モジタバも重傷を負ったとされ、新たな最高指導者に選ばれてからも、公の場に姿を見せたことも、肉声が伝えられたこともない。

その空白を埋めるように現れたのが、一種の集団指導体制だ。あくまで最高指導者を頂点としつつも、有力な政治家や軍人、宗教指導者が影響力を持つ仕組みだ。これがイランの神権体制の新たな特色になるかもしれない。

首都テヘランにあるシンクタンクの政治復興研究所のメフディ・ハラティヤン所長は、本格的な権力の分有はないとみる。「イランの置かれた特殊な状況を考えれば、それは理解できる」とハラティヤンは言う。「限定的な権限委譲はあっても、統治機構の根本的な変化はないだろう」

その一方で、より微妙な変化の兆しがあると、ハラティヤンは語る。「国家機関と政治的な派閥が、非公式な形で権力を分担する可能性がある」。モジタバの不在が、複数の国家機関が自己主張を強める余地を生み出したのだ。

さらにハラティヤンは、モジタバはまず、イデオロギー面の締め付けを強化すると予想する。だが、それは政治的基盤を強化する役には立つかもしれないが、大衆の反発を招く恐れがある。近年、全国的に激しい抗議運動が起きてきたことや、現在の戦争が続くなかでは、国内の安定を維持することは重要だ。

モジタバ体制には現実主義的な側面も
【関連記事】