では、この概念を「クリーンな分煙環境」に当てはめるとどうなるか。喫煙スペースにはつながりの強いメンバーはもちろん、弱い紐帯の人々も集まり、たわいない話からビジネスアイデアの交換やアドバイスまで、多様な雑談が展開される。

部署や世代を超えた緩やかな関係性から生まれる非公式なコミュニケーションは、有益で新規性の高い情報をもたらすだけでなく、会社全体の一体感を生み出すことにも貢献するだろう。

米国保健福祉省は、職場のウェルビーイングに関するレポートのなかで、「職場の良好な交流と人間関係は従業員のエンゲージメントを促進する」としているが、「クリーンな分煙環境」は、それを体現する場となるわけだ。

「雑談はしょせん雑談」といい切れない理由とは?

人手不足対策としての分煙環境の整備
Vitaly Gariev/Unsplash

もちろん、「雑談の暇があるなら仕事をするべき」「専用スペースまで設ける必要があるのか」と懐疑的な意見はあるはずだ。しかし、休憩所や喫煙スペースで生まれる雑談のメリットは、国内外のさまざまな調査や研究からも明らかだ。一例として、米ラトガース大学が行った調査結果を紹介しよう。

同大学で組織行動学を研究するジェシカ・R・メト准教授らは、米国内の大規模公立大学の人事管理学部および大学院を卒業したフルタイム従業員151人を対象に、1日3回・15日間連続でメール調査を実施。その日の雑談の量や、雑談で得られた感情、仕事への集中度などを調べたところ、雑談が多かった日には次のような効果が確認できたという。

・ポジティブな感情が高まった
・燃え尽き症候群(バーンアウト)が減少した
・同僚を積極的に助けようとする気持ちが強くなった

「集中力がやや低下した」「仕事への没頭感が弱まった」などの回答もあったが、雑談が業務意欲の向上や、助け合いの精神の醸成に役立つことは事実。これらは「生産性の向上」にもつながるため、企業活動への影響は小さくない。なお調査チームは、「雑談のメリットはデメリットを上まわり、デメリットも適切な工夫によって管理できる」と結論づけている。

ビジネスリーダーも、もっと「雑談の場」に足を運ぶべき!?

バイオテクノロジー企業ノボテックのグローバルマーケティングディレクターであるトイナ・チンは、「ビジネスリーダーは給湯室の雑談にもっと耳を傾けるべき」と指摘する。彼は米フォーブス誌への寄稿で、「以前は雑談を雑音としか見ていなかったが、ある時、なにげない会話にこそ組織を成長させるヒントが数多く隠されていると気づいた」と論じた。

実は極めて「現実的」な手段
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