その結果、無意識に排除されてきた層のなかで割合が多いのは、喫煙者(19%)、持病を持つ人(12%)、ひとり親の人、職歴にブランクがある人(ともに8%)の4属性だと判明。それぞれの属性に転職を検討する条件を尋ねたところ、「有給休暇の当日申請可能」「在宅勤務を選びやすい職場」「クリーンな分煙環境」の3つが転職意欲を掘り起こすトリガーになることが分かったという。

また、調査レポートでは、転職エージェントの紹介料よりも安価な投資で分煙ブースを設置できることに注目。「クリーンな分煙環境」を「他社が手放す2割の優秀層を独占的に惹きつけられる高ROI施策(投資効率の高い施策)」と位置付けている。

喫煙を理由に採用を絞るのではなく、喫煙者に配慮した環境整備を行うことで採用の間口を広げる──。日本の成人全体のうち喫煙者は約15%。約7000万人の労働人口のうち単純計算で1050万人にも上る人々が対象になると考えれば、たしかにこの施策は「人手不足解消の強み」と考えられそうだ。もちろん、受動喫煙防止の徹底や喫煙時間の明確な管理などが前提だが、中小企業にとっては実現可能性が高いアイデアといえるだろう。

「クリーンな分煙環境」は、コミュニケーションの活性化にもプラス

「クリーンな分煙環境」のメリットとして挙げられるのはそれだけではない。先に紹介したように、人材不足の解消を目指すには「コミュニケーションの活性化」が重要となるが、「クリーンな分煙環境」は、その点においても大きなメリットを生み出すと考えられる。

米スタンフォード大学の社会学者マーク・グラノヴェッターは、「弱い紐帯の強み(The strength of week ties)」を提唱した。これは、「緊密で親密な社会的なつながりを持つ人より、弱い社会的なつながりを持つ人のほうが、有益で新規性の高い情報をもたらしてくれる可能性が高い」とする概念。紐帯=人との結びつきと捉えればわかりやすいだろうか。

例えば、家族やプロジェクトチームの仲間など、自分とのつながりが強い人たちは、同じようなスタイル、価値観を持つ場合が多く、情報入手ルートも重なりがち。一方、自分とのつながりが弱い相手は、スタイルや価値観が異なる場合が多く、自分が知り得なかった情報をもたらしてくれる可能性が高い。これが、「弱い紐帯の強み」の意味するところだ。

「雑談はしょせん雑談」といい切れない理由とは?
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